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「あ、税金ドロボーネ」
街の中、突然そう言われ血管が浮かび上がるのを感じた。
日頃からチンピラ警察と恐れられている為、ある程度の視線や
陰口には慣れっこだが、慣れればいいってもんでもねぇ。
と言うか、態々この俺に対して言うとは、いい度胸してんじゃねぇか。
鬼の副長と言われ、一般市民からも攘夷志士からも恐れられている
土方は、一切の感情を隠しもせず、声の発生源を振り返った。
するとソコには、口を塞がれたチャイナ服の少女と、その口を塞ぎつつ、
引き攣った笑みを浮かべて軽く頭を下げている眼鏡の少年が・・・
「・・・テメェらか・・・いい度胸してんじゃねぇか」
あぁ!?と声を低くし言えば、新八が慌てて謝罪の言葉を出す。
そして神楽にも謝るように言うが、神楽は力任せに自分の口を
塞いでいた手を叩き落し、フンとふんぞり返った。
「何でヨ。だってコイツ振り向いたネ。自分でも自覚がある証拠ヨ」
う・・・神楽の言葉に、土方は一瞬言葉が詰まる。
確かに今、土方の名前は呼ばれなかった。
しかも背後からだった為、面と向って言われた訳でもない。
なのに振り返ったって事は・・・いやいや、違う。
違うぞ、俺。これはアレだ。
警察としてのカンが働いたんだ!!!
悪口に対して!!!!!
・・・アレ?やっぱ何か違くね?
なんか警察関係なくね?
「だからってダメだよ!言っていい事と悪い事があるでしょ?」
叩き落された手を摩りながら、新八が言い聞かせるようにそう言うと、
神楽はプーと頬を膨らませた。
「本当の事は言っても良い事ネ。私、陰口嫌いヨ」
「本当の事だから言っちゃダメな時もあるの!ほら、銀さんの枕に付いてる
抜け毛の本数とか、幾らなんでも面と向って言えないでしょ?」
「・・・確かに・・・あれは言えないネ」
新八の言葉に、神妙に頷く神楽。
なんだ、ソレ。そんなにヤバイのか、あいつの髪。
ってかオイコラ眼鏡。それ、俺等が税金ドロボーっての
否定してねぇだろ。
寧ろ肯定してるよな?なぁ!?
「ホント、すみません、土方さん」
ちゃんと言い聞かせますから。ほら。申し訳なさそうに頭を下げ、
隣の神楽の背に手を回す新八。
それに押されるように一歩前に出ると、俯き加減の為、少しだけ上目遣い
になった状態で口を尖らした神楽が、
「悪かったネ。」
と小さく謝罪の言葉を出した。
いやいやいや。あれ?何コレ。
なんかすっげー居心地
悪いんですけどぉぉぉぉ!!!?
なんでそんなに心底反省してます!って顔してんの?
アレだよな?お前ら、悪口に対してじゃねぇよな、それ。
明らかに
『本当の事言ってごめんなさい☆』
って感じだよなぁ!!?
そうは思うものの、突っ込んで肯定されたらそれこそ辛い。
土方は曖昧に返事を返すと、すぅ~っと視線を逸らした。
「あ、でもあれですよ!土方さんはそんな事ないって
信じてますから、僕!!」
ね、神楽ちゃん。少し上擦った声でそんな事を言う新八。
いや、もういいから。
なんかどんどん胸が痛くなるから、ホント。
「そうネ!私も信じてやるヨ!!だから世間の声なんて
気にする事ないネ!!!ったく、あいつ等は
何も判っちゃいねぇんだからよぉ」
そう言って土方の背をドン!!と力強く叩く神楽。
いやいや、そんな慰めもいらねぇから。
ってかまずお前等が判ってねぇからな?マジで。
ってそうだよ!判ってねぇんだよ、こいつらは!!
何雰囲気に飲まれそうになってんだ、俺は!!!!
きっちり仕事してんじゃん!
テロリスト追って、書類書いて、事件収めて見回りして・・・
色々してんじゃん、俺等!!!!
ハッとその事に気付き、言い返してやろうと視線を戻したその時、
「あ、そう言えば近藤さんがまたウチに来ててそのまま倒れてるんで
迎えに行って上げて下さい」
と、にっこり笑った新八に告げられた。
それにつられるように隣の神楽も手をポンと叩く。
「そう言えばこの先の公園でサドが昼寝してたネ。
目障りだから早く回収するヨロシ」
「後、山崎さんが一本向こうの道でカバディの練習してましたよ?」
「幾らジミーでも、その服のままだと流石に目立つネ」
「神楽ちゃん、それも言い過ぎ~」
そう言って笑い合う二人。
次の瞬間、土方が物凄い形相でその場を後にしたのは言うまでもない。
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無邪気に弄り倒すお子様コンビ(笑)