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少しだけ過ごしやすくなった夜、万事屋のテレビには少し時期外れの特番が
流れていた。
それを横目に、チラリと隣に座っている銀さんを見る。
・・・あ、貧乏揺すりだと思ったら、
全身プルプルしてるよこの人。
僕は小さく息を吐き、静かに銀さんに擦り寄った。
って、この程度でビクつくなよ、おい。
「・・・銀さん、無理しない方がいいですよ?」
「あ、あぁぁ!?何言っちゃってんのかな、新八君は~。
銀さん、全然無理なんかしてないよ?あ、判った。
アレだな、アレ。オマエ、怖いんだろ?あ~、もうお子ちゃまだなぁ、おい。
銀さんなんかアレだよ?24時間延々見てても平気だよ?
寧ろそれを糧にマラソン出来ちゃうぐらいだよ?」
「その時の伴走は貞○アルカ?」
「そうそう貞○。スタートと同時にテレビから出てきて
延々と銀さんの後ろを・・・
ってウソォォォォ!!!」
そう言って勢い良く立ち上がり、自分の背後を見る銀さん。
その瞬間、画面からタイミング良くドロドロとした効果音と
人々の悲鳴が聞こえ、序に銀さんの悲鳴も聞こえた。
・・・キャーッてなんですか、キャーって。
「銀さ~ん、もうテレビ消したから大丈夫ですよ?」
流石にこれ以上は可哀想だろう・・・と、渋る神楽ちゃんを説き伏せ、
心霊特集なる特番をやっていたテレビを消した。
そして半ば意識を飛ばしかけて固まっている銀さんに声を掛けると、
漸く銀さんの体がピクリと動いた。
そして恐る恐る・・・といった具合に視線をテレビへと向けると、
大きく息を吐き、ソファへと背中を預けた。
「あ?なんだよ、消しちゃったの?やっぱアレか、怖くなっちゃったか。
ダメだね~、アレはもう一つの風物詩だぜ?
それを楽しめないとは、風流人には程遠いなぁ、お前ら。」
片手を軽く振り、先程までの自分を遠い宇宙に葬り去ったかのように
語りだす銀さんに、
「別に大丈夫ヨ。私は粋な女ネ、風流を楽しむアル」
そう言って神楽ちゃんはテーブルに置いてあったリモコンに
手を伸ばした。
・・・が、その先にリモコンの姿はなく、神楽ちゃんの手は
空振りに終わる。
見ればそそくさとリモコンを懐に収めている銀さんが。
思わず白けた視線を送ってしまう僕達に、銀さんはヘラヘラと
笑みを浮かべた。
「いやいやいや、アレだよ?神楽ちゃんは十分粋だよ?
でもさ、お前シティ派じゃん?そうなるとさ、あぁ言う田舎臭いっつうか
子供騙しみたいなもんは無用だと思うわけよ、銀さん。」
寧ろ見たらシティ派の名が泣くね!拳を握り締め、そう力説する銀さん
だが、その拳は込めている力とは無縁の所でプルプルと震えている。
神楽ちゃんはそんな銀さんを半目で見詰め、ズイッと手を差し出した。
「無駄じゃないアル。寧ろ子供社会にとって前の晩にやってた
番組は大事ネ。それにシティ派としては都市伝説は
抑えておきたい事柄ヨ」
だから寄越せヨ、リモコン。そう言って更に突き出される手を
銀さんが力いっぱい叩き落す。
「抑えるなぁぁぁぁ!!!!
大丈夫だって、既にお前の胃袋が都市伝説になってっから!
ある意味一番の恐怖だから、本当ぉぉぉぉ!!!
だからもうお眠りになって下さいませ、コノヤロー!!!!!
子供がこんな遅くまで起きてるんじゃありませんんん!!!」
神楽ちゃんの寝床を指して叫ぶ銀さんに、思わず頬が引き攣る。
・・・銀さん、まだ八時です。
おまけにちょっと涙目になってます。
でもソコは突っ込まずに、僕は神楽ちゃんへと視線を向けた。
多分この二人だけだと話が終わらない。
「神楽ちゃん、明日早くに出掛けるって言ってなかったっけ?」
ならもう寝た方がいいよ。そう言うと神楽ちゃんは小さく声を上げる。
「そうだったネ!銀ちゃんに構ってる場合じゃなかったヨ。
さっさと寝て体力回復しとかないとヤバイネ!!!」
神楽ちゃんは僕に明日起こして貰う時間を告げ、今までの事を忘れたかのように
定春と共に寝床がある部屋へと向かっていった。
や、起こすのはいいけど、体力回復しとかないと
いけない用って、なに?
一応明日神楽ちゃんには危険な事はしないように言い聞かせるとして・・・
今はこちらだ。
そっと出て行った神楽ちゃんから視線を移せば、
安心したように体から力を抜いてソファに身を預けている銀さんが居た。
が、まだその顔は青い。
僕はクスリと笑い 大丈夫ですか? と問い掛けた。
その問いに、銀さんは何時ものやる気のない視線を返し
「は?何が?新ちゃんの言ってる意味が全然判んないんだけどぉ。
言っとくけどなぁ、銀さんは・・・」
「はいはい、もういいですから、クドイですから、
ウザイですから、もう。
それよりまだお茶飲みます?」
飲まないなら片付けちゃいますけど。自分の分と神楽ちゃんの分を
お盆に乗せそう聞くと、若干項垂れつつも もういいです。 と
自分の湯呑みをお盆に乗せてくれた。
「あ~、それよりよぉ・・・もう帰るのか?」
それを持って台所へ向かおうとした所、何故か銀さんも立ち上がって
後ろを着いて来た。
「えぇ、そろそろ・・・」
「んじゃ送ってってやるからさ」
もうちょっとだけ居てくなんい?縋るような口調でそんな事を言ってくる
銀さんに、小さく噴出す。
全くもう、そんなに怖いなら最初から見なきゃいいのに。
見栄張るからこんな事になるんですよ?
・・・まぁそれが判ってて見た僕等も悪いけど。
手に付いた泡を流しながらクルリと銀さんの方へと顔を向ける。
「別にいいですけど、いいんですか?銀さん。
そうなると帰り、銀さん一人になっちゃいますよ?」
僕の言葉に、カチリと固まる銀さん。
あ・・・やっぱり帰りの事までは考えてなかったんだ。
僕はフフッと笑い、固まった銀さんの手をそっと握り締める。
「ね、銀さん。どうせ今日も姉上遅いだろうし、僕泊まってっていいですか?」
明日早く神楽ちゃん起こさないといけないし。そう言うと あ~ とか
う~ とか言いながら、ゆっくり銀さんの頭が僕の肩口へと落ちてきた。
そして、ボソリと お願いします。 と呟かれ、ギュッと手を握り返され、
その手は寝付いたあとも離される事はなかった。
ってか、トイレにまで着いてくんなよ、おい。
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一度は書かねばなるめぇよ・な怪談系(笑)
ちなみに私は結構好物(おいι)