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「新八ぃ~」
台所で今夜の夕食の予定を冷蔵庫と相談しつつ考えていた
新八の背中に、神楽の声がかかる。
それに顔だけ向けて答えると、神楽が台所へと入ってきて
新八の腕を掴んだ。
「な、何?神楽ちゃん」
「いいから!・・・あれ、どうしたネ」
連れてこられたのは居間の前。
少しだけ開けられた襖から言われた通り覗き込めば、そこには
ソファに座り、呆けている銀時の姿が。
「なんか朝からあんな感じネ。何かあったか?銀ちゃん」
「いや、昨日の夜は何時もと変わらなかったけど・・・」
新八を見上げて問い掛けてくる神楽に、少し考えながらそう答える。
そんな二人が覗いているとは知らず、銀時が大きく溜息を吐いた。
「・・・辛気臭いヨ。一緒に居るの気まずいネ」
銀時の姿にムッと眉を潜めながらそう言う神楽だが、それが心配から来ている
ものだと判り、新八は口元を緩ませた。
銀時は結構自分の中に色んなものを溜め込んでしまう方だ。
きっと理由を聞いても、本当の事など教えてくれず、曖昧な言葉で
誤魔化されるのがオチだろう。
変な所で大人になってしまうのだ、あの人は。
そして子供扱いするのだ、自分達を。
ならばせめて・・・と新八は思う。
「・・・元気出して欲しいね」
何があったか知らないけどさ。そう言って苦笑する新八に、神楽はチラリと
視線を送ると、
「・・・元気溌剌な銀ちゃんなんて怖いアル」
でも、あれよりはマシネ。そう言って笑みを浮かべた。
新八も笑ってそれに同意すると、覗き込んでいた顔を戻し、ん~、と首を
傾げる。
「でも銀さんの元気が出るようなのって・・・」
「糖ネ」
「・・・だよね」
返ってきた言葉にカクリと肩を落とす。
けれどそれは万事屋の財布的にも、銀時の身体的にも無理だ。
二人は揃って首を傾げた。
「あ、私凄いアル!閃いたヨ!!」
「え、本とっ・・・って神楽ちゃん!!?」
突然手を叩いてそう言った神楽は、むんずと新八の腕を握り、襖を良い音で
開けた。
そしてそのまま意味の全く判っていない新八の手を引き、銀時の前まで
やってくる。
「・・・あ?何やってんの、お前等」
突然やって来た二人に、銀時は顔を上げて問い掛けるが、神楽は満面の笑みを
浮かべたまま、オロオロとしている新八を銀時の前に立たせた。
そして自分は新八の後ろに回ると、そのまましゃがみ込み、
「銀ちゃん、元気出すヨロシ」
そう言って新八の袴の裾を勢い良く捲り上げた。
「ちょ、神楽ちゃ・・・えぇぇぇぇっ!!!?」
突然の事にアタフタと両手で袴を抑えるが、神楽の手は捲り上げたままだ。
そのまま新八の肩口からヒョコリと顔を出し、
「・・・まだダメアルカ?」
と、目を見開いたまま固まっている銀時に問い掛けた。
その声に漸く我に返った銀時だったが、視線は目の前の新八の足から離れない。
「あ・・・いやダメっつぅか最高なんだけど。
寧ろ一部派手に元気になりつつあるっつぅか・・・
え?何これ。夢?」
ソロリと伸びてくる銀時の手を、新八がパチリと叩く。
「僕の方が夢であって欲しいですよ、この状況。
って言うか神楽ちゃん、そろそろ離して~!」
顔を真っ赤にして叫ぶ新八に、舌打ちしながらも渋々手を放す神楽。
それを見て銀時も舌打ちをした。
「神楽ちゃん、女の子が舌打ちなんてしちゃダメでしょ!
つぅかなんでアンタまでしてんだコノヤロー」
「仕方ないアル。最終手段ネ」
新八のお説教を無視して神楽は前に出ると、銀時の左足に跨り、チョコンと
背中を銀時の胸元へと預けた。
「え、何してんの?銀さん、座椅子代わりですか?」
コノヤロー。と、神楽の頭に手をやり、グリグリと撫で回す銀時に
や~め~ろ~よ~。と言いつつもどかない神楽。
銀時の手をなんとかどかすと、クルリと顔を向け、
「工場長自ら甘えさせてやるから、元気出すヨロシ」
そう言ってニコリと笑い、次に新八の方を見て銀時の右足を軽く叩いた。
新八はそれを見ると袴を直していた手を腰に当て、小さく息を吐き、
仕方ないな~。と呟きながらも、大人しく銀時の右足へと腰を下ろした。
そして神楽と同じように背中を預けると、困惑顔の銀時を見上げ、
照れ臭そうにニコリと微笑んだ。
突然やって来て、自分の足へと腰を下ろしている二人に、
銀時は緩みそうになる顔を伏せ、唸りながら後ろ髪をガシガシと掻くと、
「・・・もう元気溌剌だよコンチキショー。」
そう言って力いっぱい目の前の二人を抱き締めたのだった。
「で、一体どうして凹んでたんですか?」
答えてくれるか判らないが、聞いてみるだけは・・・と、新八は
銀時に問いかけてみた。
すると銀時は それがよぉ~。と、また大きく溜息を零し、
「この間溜まってたジャ○プ出したじゃん?
あの時にさぁ、銀さんの夜のバイブル的なモノも一緒に出しちまった
みたいでさぁ~、ドコにもないのよ」
かなり使えるヤツだったのにさぁ。そう嘆く銀時に、神楽と新八は視線を
交し合うと、スクッと立ち上がり、
「神楽ちゃん、警察に電話して。痴漢が居るって」
「それより弁護士ネ。乙女のハートはガタガタヨ。
慰謝料、搾り取ってカスにしてやるネ」
「は!?ちょ、何ソレ?慰めてくれてたんじゃねぇのかよ!!
つぅかオマエ等が勝手に乗ってきたんだろうがぁぁ!!」
「ただで触らせるほど安くないんで、僕ら」
「最悪アル、加齢臭うつったよ。
クリーニング代も寄越せヨ、コラ」
「なにこの鬼っ子デュオ!!え?ちょ、待て待て待て。
話せば判る、判るからその無駄に燃えてる拳は仕舞って、神楽ぁぁぁ」
その日、銀時の叫び声ともろもろの破壊音が万事屋から
響き渡り、暫くの間止まなかったと言う。
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そろそろ原稿時の癒し用にと、撮り溜めしておいたアニ銀を
HDDから移動しようとした所・・・消えました、全て。
わ、私の動乱編その他諸々がぁぁあ(号泣)
故障っぽいので、どうにも、誰にも八つ当たりできず、
悲しんでます(現在進行形)
そしたら、姪が「元気出してね」と言ってパンイチ姿を
披露してくれました。(なんでだ?/笑)