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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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夕陽の暮れる中、手を繋いだ親子連れとすれ違った。
それはとても楽しそうで、一人で歩いている新八に、少しの笑みと
寂しさを運んでくる。
目を向ければそこには見事なまでの夕陽。
新八の足が、ほんの少しだけ速まった。

 

『夕陽』


まさかこんな所で会うとは思ってなかった新八は、歩んでいた
足を一瞬止めてしまう。
そしてまだこちらに気付かず、反対側から歩いてくる銀時を見詰めた。

場所は賑やかさから少し離れた川べりの道。
見られてるとは知らない銀時は、何時もの何を考えているか
判らない顔で、川の向こうに沈んでいく夕陽を見ながら
ガシガシと頭を掻き、ゆっくりと歩いていた。

その姿は、夕陽の赤に染められて。
何時も見慣れてる筈の銀髪さえも赤く染まっていて。
まるで知らない人の様で、少しだけ新八の心をざわめかせた。

思わず声を掛けようとした所で、不意に銀時の視線がこちらを向き、
新八の視線と重なる。
瞬間、丸くなる目。
そして、微かだが銀時の口元が緩やかに上げられるのを新八は見た。

「銀さん!」

思わず駆け出し、銀時の元へと急ぐ。
それを銀時は立ち止まって待っていた。

「こんなトコでどしたよ、新八」

オマエ、今日休みだったろ。そう言って、走って来た為
少し乱れた新八の髪を手で簡単に直しながら、銀時が問い掛けた。

「そうなんですけど、近所の方からお裾分け貰ったんで」

頭を撫でる手に少し首を竦めながら、新八は抱えていた紙袋を見せた。
中には、少し形は歪だが、立派な野菜類が入っていた。

「お裾分けのお裾分けです」

「お!でかした、新八!!」

笑って言う新八の頭を、今度はかき回す様に撫でる銀時に、新八は
やめて下さいよ~!!と叫びながら、そこから逃げたした。

「いいじゃねぇか、少しぐらい乱れたってすぐ直る癖によ、コノヤロー」

「そう言う問題じゃないでしょ!も~、両手塞がってるのに・・」

抱えている紙袋の中身がかさばる物だけに、片手を離すと心もとない。
頭を振って、なんとか直そうとする新八に、銀時の手が伸ばされる。

「振れば直るアジアンビューティー気取りですか、えぇ!?」

そう言って再び簡単に新八の髪を直すと、そのまま抱えていた紙袋を
取り上げた。
その紙袋と共に、顔を上げる新八。

「で?このお裾分けのお裾分けは明日のご飯予定?それとも本日?」

その視線の先で、銀時がニンマリと笑ってそう問い掛けた。

「あ~、そう言えば今日はまだ野菜摂取してねーなー。
でも今から料理するの、たるいな~、銀さん疲れてるし」

新八が両手で抱えていた紙袋を片手で持ち、視線を逸らして空々しく
そんな事をボヤく銀時に、新八は小さく噴出した。

「勿論、今日の分ですよ。ちなみに神楽ちゃんが暴れだすと困るんで、
銀さんにも手伝ってもらう予定です」

「マジでか!?あ~もう、ウチの奥さんは人使いが荒いね~」

「誰が奥さんですか!ホラ、さっさと行きますよ」

そう言って銀時の背を押し、万事屋へと二人で足を向ける。
と、銀時が ちょっと待て。 と言って無理矢理足を止めた。

「なんですか、銀さん」

「ん~、あ~ホラ、それも銀さん楽でいいけどよ」

銀時はそう言うと、紙袋を改めて片手で抱えなおし、空いてる方の手を
プラプラと振った。
その行動に、新八は訳が判らず首を傾げる。

「銀さんな、片手で荷物持てるし。すると片手が空く訳ですよ、新八君」

「・・・それは両手で抱えてきた僕への嫌味ですか」

「ちげっ~て!だからな、暇してるこの手にも、
何か役割を与えて欲しいんですけど?」

いい考えがありませんか?等と、真面目な顔で言う銀時に、新八は暫し
目を瞬かせ、次いで顔一杯に笑みを零した。

「それなら丁度僕の両手も、なんの役割もなくて空いてるんですけど?」

「お、そりゃ奇遇だな。じゃ、丁度いいからよ」

「ですね」

そう言って笑合い、空いてる手を繋いで歩き出した。

隣を見れば、あの何を考えているか判らない表情ではなく、どこか
嬉しそうな表情の銀時。
きっと自分はあのもうすぐ沈む夕陽にも負けないぐらい、
赤くなっているのだろうけど、それでもこんな暖かい温度と、
その表情が得られるなら、それでもいいや。
それにどうせもうすぐ日も沈んで、判らなくなるだろうし。

そう思い、新八は握っている手に少しだけ力を込めた。
それに気付いた銀時が、 ん? と問い掛けるような表情でこちらを
見てきたので、先程思った疑問を聞いてみた。

「そう言えば銀さんは何してたんですか?」

「ん?いや、まぁ・・・なんとなく・・な。仕事もなかったし・・」

つまんなくてよ。そう言う銀時に、
いつもはダラダラ寝て過ごしてんじゃないですか。と答えると、

「だって今日はオマエがいなかっただろ」

何か居心地悪ぃのな。
と、まるで自分がアソコに居る事が当たり前
の事であるかのように、告げられた。

 

・・・どうしよう、これ、きっと夕陽が沈んでも
判るぐらい赤いままだよ、僕の顔。
****************************
[銀新十題]さまからお借りしました。

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