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何時もの様に部屋を掃除していたら、これまた何時もの様にダラ~っと
したマダオが居た。
しかもこっちは掃除してるってのに、呑気にジャOプを読み広げている。
・・・ってか広げんなよ。読んだら戻せよ、せめて。
と、言う事で、これまた何時もの様に小言を繰り出す羽目になる。
・・・僕、いつか血管切れそう。
『諸刃の剣』
「あ~、はいはい。ったくよ~毎度毎度こ煩いね~新ちゃんは」
ブツブツ言いながらも、広げていたジャ○プを集める銀時。
それを見て新八が 毎度毎度言われる方が悪い! と、また血管が
危うい事になる。
「しかし・・・また高くなりましたね、ジャン○タワー」
集められ、積み重ねられたタワーを呆れ顔で見上げる。
最近は珍しく仕事が重なっていたので、中々捨てに行くのも、縛ることも
出来なかったのだ。
なのに、確実に冊数は増えていって・・・
「・・・倒れそうです、銀さん」
「大丈夫だって。ヤツラはそれをカバーし、何れ勝利する」
「そんならまず自らを圧縮させてから勝利を得て下さい」
「しかも努力もしてる」
「倒れないよう努力してんのは僕らです、銀さん」
「それでも倒れたら、そこは友情で持って許すのがマナーだ」
「とりあえず僕に向かって倒れてきたら、愛情に変えて持ち主に
全力投球させて頂きます、一冊ずつ。それが僕のマナー」
「痛い!!愛もその視線もごっさ痛いよ、新八君!!?」
なんて酷い嫁だろう!!・・・なんて言いつつ泣き真似をしている
銀時に、ますます新八の視線の温度は下がっていく。
すみません、銀さん。僕は今、貴方が痛い存在です。
「痛くてもなんでもいいですから、とりあえずソレ、縛っといて下さいね」
え~っ!!・・・とブーイングを零す銀時を無視し、先程途中だった
掃除をやり直す新八。
ったく、やり始めちゃえば早いくせに、中々動かないんだから!
ジャ○プタワーを前に、文句を言いつつ中々動こうとしない銀時に、
黙って掃除をしていた新八もイライラが募る。
が、ここでまた小言を言い出すと、何のかんのと言い訳されて
逃亡されてしまうのがオチだ。
どうしてやろう・・・と考えてると、とある言葉が新八の耳に入ってきた。
「昔の新八はもうちっと可愛げがあったって~のにな~。
それが今じゃアレですか?ツンデレ気分ですかコノヤロー。
アレ?、でもその割にはツンの部分が多すぎね?
ツンデレの黄金比重間違ってね?デレ新八はドコ?」
デレ新八って誰だコノヤロー。
あ、でもそっかー。・・・うん、案外いけるかも。
ある事を思いついた新八は、それを決行すべく持っていた箒を置き、
未だ動こうとしていない銀時の元へと足を運んだ。
そして、
「銀さん」
「あ?何よ。やるよ、やりゃーいいんで・・・」
そう言って振り返った銀時の胸元にギュッとしがみ付いた。
「・・・・・・・・・へ?」
突然の事に、頭の後ろを掻いていた手もそのままに、カチンと固まる銀時。
その銀時を下から見上げる様に新八はじっと見詰め、
「お願いです、縛って下さい」
と告げた。
ちなみにその時の新八の頬は赤い。
「銀さんに、して欲しいんです」
当たり前だ、この年になって正面から誰かに抱き付くなんて恥ずかしすぎる。
なのですぐ顔を伏せる・・・が言葉は続く。
「銀さんが縛ってくれないと、僕・・・」
捨てに行けないだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!
言葉に出来ない思いで、抱きついた腕に力がこもる。
「~~っだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
と、突然銀時が新八の肩を掴み、その体を引き離した。
「銀・・・さん?」
その勢いにちょっとびっくりしながら、顔を上げると、そこには
無駄に真剣な表情の銀時が、何かを耐えるように俯いていた。
「どうかしまし・・・」
「新八!」
「は、はい!」
大きな声で呼ばれ、ピシッと背筋を伸ばして思わず返事をすると、
徐に銀時は新八の肩を掴んでいた手を離し、
「ちょっとそこにお座んなさい」
と言って、床を指した。
「え、なんで?やですよ、僕掃除してる途中だし、銀さんには
縛ってもらわなきゃ・・・」
「いいから!!はい、お座り!!!」
その後、反論虚しく座らされた新八は、銀時に良く判らない説教を
懇々とされたのだった。
お陰で夕飯の支度の時間となり、掃除は中途半端なまま終わってしまった。
だが・・・
「判ってる、判ってるんだよ本当。伊達に銀さん、年食ってないし?
新八の性格理解してる訳でもないし?判ってんだけどさ~、
ありゃ~ねーと思うんだよね、マジで。あぁもう日本語ってややこしい!!
でもある意味最高だったぞコノヤロー!!」
等と言いながらジャ○プを縛り続ける銀時の姿に、
・・・折角素直に甘えてお願いしてみたのに、なんで説教?
ま、とりあえず縛ってくれてるし、いい・・・のかな?
よし、今度は違う形でお願いしてみよう!
銀さん、叱るより褒める方が伸びるタイプかもしれないし!
あ、でも褒めたら褒めたで図に乗るタイプだな、うん。
う~、どうしよう・・・
と思う、新八であった。