[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
大人ってやっぱり卑怯だ。
今になってそんな事言うなんて、子供以上に手が付けられない。
あ、でもだから『大人』なのかな?
『僕とアンタの事情 3』
「・・・・・・・・・で?」
土下座した状態から顔だけ上げている銀時に、新八は白けた目を向けた。
「で?って・・・ちゃんと聞いてたのかよ?」
「聞いてましたよ、アンタのくっだらない夢物語を」
僕が結婚を決めて、銀さんに報告したらしい。
それで銀さんはお赤飯を炊こうとしていたのだが、気付けば
包丁で僕共々、その顔も知らないお嫁さんを刺し殺してしまったそうだ。
って言うかなんで包丁?
・・・どこの火サスだ、コノヤロー
せめて刀とか持ち出してこいや、手近で済ませてんじゃねぇっ!!
「って言うか、それで謝るぐらいなら、今すぐ眠って
夢の中の僕に謝ってきて下さいよ」
そう、そんな夢の中の惨劇を、現実の僕に告白して謝罪されたって
どうしようもない。
って言うか、一昨日の事があるんだから、今アンタに謝られると
滅茶苦茶心が痛いんだっつーの!
なに、この大人。何時も通りにも程があるだろう!!
そんな事を思っていると、銀さんが不思議そうに首を傾げた。
・・・こっちの方がよっぽと首、傾げたいんですけど。
なんですか?と、少しキツめの声で問い掛けると、銀さんは
小さく手を横に振り、
「え?・・・あ、いやいや夢の中のオマエ関係ないじゃん。
俺、一昨日のことで謝ってんだもん」
・・・最悪だ、この大人。
夢の中の僕、可哀想!全然反省してないよ、刺したのに!!
って現実の僕も可哀想だってーのっ!!!
勘違い扱いの上、再度拒否ですかコンチキショー。
悲しみを通り越し、込み上げて来る怒りのまま手を握り締めていると、
足を崩した銀さんが頭の後ろを掻きながらボソボソと呟きだした。
「いや、だってよ?銀さん滅茶苦茶頑張って我慢して言ったのによ?
ドコの馬の骨か判らねぇ女にオマエ取られて?
考えてみればその時点で自動的にソイツ、オマエの家族になる訳じゃん?
それって酷くね?銀さん、可哀想じゃね?」
「ウルセー!!可哀想なのは確実に僕でしょうが!!
大体何なんですか、我慢って!そんなに僕の気持ちは気持ち悪いですか!!」
「いや、すっげー気持ちいい」
涙が出そうになるのを堪えて、でも大声は我慢できずそう叫べば、
銀さんは嬉しそうにそう答えた。
その対応に、思わず出そうだった涙が引っ込みそうだった。
「・・・へ?」
「いや、だからオマエの気持ち、すっげーいい。最高。嬉しい」
一昨日とは打って変わった銀さんの言葉に、僕の頭はショート寸前だ。
ポケッとしてしまった僕を置き去りに、銀さんは尚も言葉を続ける。
「だからな、ワリィ。一昨日の銀さんは、ナシ。」
大体アレだよ。オマエがそんな出会いしないように銀さんが見張っとけば
いい話だもんな。・・・等と満足げに言う大人に、子供の僕は
どう答えればいいか判らない。
って言うか、銀さんが判らない。
「えっと・・・謝ったのは一昨日のって事で・・・それって、え?」
すると銀さんはニヤリと笑ってゆっくりと立ち上がり、
玄関の扉を背にしていた僕の方へと近づいてきた。
そして両手を伸ばし、僕を囲むようにして扉に手をつけると、ぐっと
顔を近づけ、
「それもあるけど・・・本当悪ぃな、もうマジ離してやれねぇ」
だからゴメン。と、怖いぐらい真剣な表情を見せた。
「気付いちまったんだわ。家族っつっても、それで終わりがなくなろうとも
どうしようもねぇ。オマエが他のヤツのモンになるのが許せねぇ。」
そう言って、扉についていた手で僕の頭を掴み、固定し、視線を合わせた。
僕はと言えば、突然の事と銀さんの迫力に、頭がついて行かない。
力を込めていた両手を、微かに動かせるぐらいだ。
「オマエのが本当は勘違いだったってのでも構やしない。
オマエがいつか終わらしたくなったとしても、関係ねぇ。
・・・・・俺のモンだ、新八」
・・・なんだ、コレ。
どうやら銀さんは言いたい事は全部言い切った様で、先ほどの怖いぐらいの
表情を綻ばせ、ぎゅうぎゅうと僕の頭を抱え込んでいる。
お陰で僕の視界は、真っ暗だ。
序に、頭の中は真っ白だ。
本当、なんだコレ。
一昨日からの僕の気持ちは!?痛みは!?涙は!?
あぁ、もう大人って最悪。卑怯。ズルイ。
でも、こんな大人の言葉に嬉しがってる僕が一番最悪。
「な、新八。やり直させて。もっかい、言って」
頭の上から銀さんの優しい声が落ちてきた。
言えるか、バカヤロー。
あんなの、妙なテンションの時じゃないと言えないんだっつーの!
判れよ、馬鹿!
好きだよ、コノヤロー!!
「なぁ~、言えって」
一昨日からの涙とは違った涙が盛大に溢れ出して、何も言葉に出来なかった
僕に、再度銀さんから要求が下る。
うるさいっての!もう黙れよ!てか判れよ!!
とりあえず僕は言葉の変わりに、折れよ!!!とばかりに
銀さんの背に廻した腕に力を込めた。
こんな最悪で卑怯で愛しい大人、
離せないのはこっちの方だ、コンチキショー。
******************************
とりあえず馴れ初め終了(笑)
最悪銀さんが好物です、私(待てι)