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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その日、何時も騒がしいことこの上ない二階が、何時にも増して
騒がしかった。

「あいつ等・・・またやってるのかい」

お登勢は煮詰めていた鍋に蓋をし、タバコに火をつけながら
呆れた表情で頭上を見上げた。

それからほんの少しして、玄関の開く音と、

「なら言う通りにしてやりますよ、この腐れ天パーッ!!」

という少年の高い声と、これまた盛大に玄関を閉める音が聞こえてきた。
そして、少年の今の心境をそのまま現してるかのような階段を
降りてくる足音が聞こえ、お登勢は一つ溜息を零す。

が、次に聞こえてきたのは、控えめに店の扉を開ける音だ。
お登勢は長くなった灰を落としつつ、そちらへと視線を向けた。

「・・・少しは労わってくれるといいんだけどね、この家」

そう呟けば、すまなそうな顔をした少年が軽く頭を下げながら
店へと入ってくる。

それにお登勢は小さく肩を竦めると、鍋の火を少しだけ落とした。

「で?今日はどうしたんだい、新八」

お登勢の言葉に、店に入ってきた新八はカクリと頭と肩を落としたのだった。

 

 

店で出す料理の仕込みを手伝って貰いながら話を聞けば、
本当に相変わらずの内容だった。

ようは銀時がパチンコで大損した上、憂さ晴らしとばかりに糖分を摂取
してきたらしいのだ。

「そりゃ~万事屋の社長は銀さんですよ?稼いだお金をどう使おうと
勝手だと思いますよ?でもそんな風に使ってたら
生活が成り立たないじゃないですか!」

そう言いつつも、新八の手は休まらない。
丁寧且つ迅速に野菜を切り揃えていく。

・・・まぁ少しばかり力が入っているようだが。


お登勢はちらりと視線を頭上へと向けた。
あれだけ騒がしかったのが嘘のように、今はシーンと静まり返っている。
それはそうだ。原因の一人がここに居るのだから。


「あぁ、そりゃ新八が正しいね。幾ら宵越しの金を持たないって言うのでも
限度があるよ。って言うか社長だからこそダメだろう、そんな使い方。」

勢い良く切られていく野菜を眺めながらお登勢が同意すると、
ですよねっ! と新八が頷き、再びいい音を立てて包丁が野菜へと
叩きつけられた。

「それに糖分だって!アノ人、また医者に怒られたんですよ、この間。
なのに懲りもなくパフェだの何だの食べてきてっ!!」

ダンッ!ダンッ!!

・・・と、最早野菜と言うよりその下のまな板を切っているような
力で包丁を振り下ろす
新八に、つい苦笑が漏れる。


偶にあるのだ、こう言う事が。
大抵銀時のせいで喧嘩が始まり、怒った新八が上を出て、
こっそりとお登勢の店へとやって来る。
その都度、お登勢は愚痴を聞いてやり、そのお礼か、新八が
店の事を手伝っていく。

・・・まぁストレス発散も含まれているのかもしれないが。


「こんだけ新八が心配してんのに・・・何様のつもりかねぇ、あいつは」

「お子様ですよ、そのまんま!
で、注意したら『俺の方針に文句があるヤツは出てけぇぇ!!』ですよ。
全く、人の心配をなんだと思ってんだ!!」

その言葉と共に、最後とばかりに包丁を降ろし、材料を全て
切り終えた新八は、それらを丁寧に鍋の中へと入れた。

どうやら怒ってはいても、身についた作業は完璧のようだ。

それ以降も、文句を言いつつも料理を淡々と進めていく新八に、
お登勢は時折相槌を入れて行き、気が済むまで付き合うのだった。


そうして料理が何品が出来上がった頃、再び頭上が騒がしくなった。

豪快に廊下を走る音がしたかと思うと、そのまま玄関の開く音が聞こえ、
次に勢い良く階段を降りてくる足音が聞こえる。

そして銀時の愛車である原付のエンジンの音が聞こえたかと思うと、
凄い速さでその音は遠ざかっていった。

 

「・・・行ったみたいだね」

そう呟いて時計に目をやれば、新八が来てから既に一時間弱。
・・・いや、まだ一時間弱・・・と言った所か。

「まぁ今日は持ったほうじゃないかい?」

笑って告げれば、先程まで怒っていた少年もクスリと笑う。

「ですかね?ってか銀さん、今鍵閉めて行かなかったですよね。」

全く無用心なんだから。新八はボヤキながらも着ていた割烹着を
脱ぎ、丁寧に畳んでいく。
そしてカウンターに置きながら自分自身もカウンターの外へと出ると、
お登勢に向けて軽く頭を下げた。

「何時もお邪魔しちゃってすみません」

「別にいいさ。こっちも手伝って貰えて助かってるしね。
ただ家はもう少し大事に扱っておくれ」

お登勢の言葉に乾いた笑いを浮かべると、じゃあお邪魔しました。
と言って再度頭を下げ、新八は店を後にしようとした。
それにお登勢が声を掛ける。

不思議顔で振り向く新八に、お登勢は緩く口元を上げると、

「手伝って貰ったお礼だよ。少し持っていきな」

そう言って先程まで作っていた料理を、皿へと取り分けて
新八へと差し出した。

「勿論、銀時には食べさすんじゃないよ?」

少しは反省させな。そう笑うお登勢に、新八も 当然です。 と笑って
返すと、お礼の言葉と共に皿を受け取り、今度こそ店の外へと
出て行った。


それを見送りながら、お登勢は新しいタバコに火をつける。

「・・・ま、そうは言っても食べさすんだろうけどね、きっと」

クスリと笑みを浮かべながら、お登勢は今頃街中を探し回っている
だろう銀髪の姿を思い浮かべた。

きっと落胆して帰ってくるものの、家に点いてる明かりを見て
再び階段を勢い良く上がっていくのだろう。

そしてまた、二階は騒がしさに包まれるのだ。


「近所迷惑にも程があるっていうのにねぇ」


全く、何度言っても聞きやしない。

紫煙と共に頭上に文句を吐き出すが、お登勢の声は
どこか嬉しげな音が滲んでいた。

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嫁、実家に帰る(←ちがっ!)

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