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パチンコ屋から出ると、そこは雨降りだった。

「なぁんて言ってる場合じゃねぇな、おい」

そう零し、銀時は入り口から少し外れた所に立って、空を見上げた。

落ちてくる雨の勢いと厚い雲で覆われた空に、これが一時的なモノで
ない事が判り、銀時は肩を落として頭を掻く。

別に傘を買ってもいいのだが、今までやっていたパチンコで
大損した身としては、それは控えたい所だ。
かと言って、濡れて帰るのも少し辛い・・・特に今の心境では。

「ったく、辛気臭ぇったらねぇなぁ」

さて、どうすっかなぁ。と、ぼんやりと雨の中を行き交う人達へと
視線を向けていると、見慣れた姿がその視界に入ってきた。
 





「何やってるネ、銀ちゃん」

どうやら目の前の少女は酢昆布の買出しに行っていたらしい。
クチャクチャと酢昆布を噛み締めながら、テクテクと銀時の元へと
やって来た。

「いや、ちょっと散歩に出たら雨に降られてよ。
もう帰るんだろ?序に入れてけよ」

「ちょっとパチンコに出たら、金をすられてよ
・・・の間違いネ、それ。
序にもう帰るけど、入れてくのは嫌アル」

片手を挙げ頼む銀時に、神楽は白けた目を向けてそう告げると、
そのまま一人で歩いていこうとし、銀時は慌てて腕を引いて引きとめた。

「ちょ、待てって!帰るトコが同じなんだからいいだろ!?
大体困ってる人が居たら助けてやんなさいって
何時も言ってるだろうがぁぁぁぁ!!」

「そのな言葉、初めて聞いたヨ。
それに銀ちゃんは困ってる人じゃなくて、困った人ネ」

「おぉぉぉぉい!何そのちょっと似てるけど
全く違う言葉ぁぁ!!
あぁもういいから入れろって!」

そう言うと銀時は強引に神楽の傘へと入り込んだ。

「ちょ、やめるネ。銀ちゃんが入ると狭いし咽返るネ!
それに雨に濡れるヨ、最悪ネ!!」

「咽返るって何にぃ!?
あ、いいから。別に言わなくてもいいから。
なんか既に胸がズキズキ痛み出してるから。
って言うかアレよ?雨に濡れても、そこはホレ。
水も滴るいい女ってヤツでよぉ」

「私は濡れてなくても十分いい女ネ。
銀ちゃんは濡れて少しは見える様にするヨロシ。
特にその天パ」

「何その一点集中豪雨ぅぅ!!?
いいからマジ入れろって、金すった上に濡れ鼠で帰ったら、
新八にものっそく怒られるから!!本当お願いしますっ!!」

段々と必死さが増してきた銀時に、神楽は溜息と共に肩を落とすと、
仕方ないネ・・・と、傘から追い出そうとしている手を緩めた。

それに銀時はホッと安心すると、神楽の代わりに傘を
持とうと手を伸ばした。
・・・が、何故か避けられてしまう。

「あ?なんだよ、折角銀さん自ら持ってやろうとしてんのに?
これ、アレよ?滅茶苦茶レアよ?
ってかオマエが持ってると頭がつくんだよ、おら、寄越せ」

「大丈夫ネ。私がきっちり持つから、少し屈むヨロシ」

「は?なんでよ。腰曲げて歩けってか?
ジジィの如く歩けってか!?
あのなぁ、何度も言うようだけど、これ銀髪だから。
白髪じゃねぇからな?」

「使い古された台詞言ってんじゃねぇよ。
いいから早く屈むヨロシ!」

ギロリと睨まれ、渋々腰を少し曲げる銀時。
それを見計らい、神楽はスッと背後に回ると、勢いよくその背中に
飛び乗った。

「ちょっ!何やってんだテメー!!」

慌てて銀時が姿勢を正すが、神楽は確りと銀時の首へと腕を回し、
きっちり負ぶわれる体勢を整えてしまう。
そして振り返る銀時にニシシと笑みを送ると、

「これで二人とも濡れないネ。
私、ごっさ頭いいヨ」

ほら銀ちゃん、遠慮せずに進むアル!との声と共に、さしていた傘を
高らかに上げた。

「あ~、はいはい。
ったく重てぇ傘だなぁ、おい」

銀時はその様子に諦めたように息を吐くと、神楽を抱え直し、
そのままゆっくりと歩き出した。

 

 

 

 

 


「・・・なんか足が微妙に冷たいんだけど。
あ~もう絶対濡れてると同時に泥がついてるよ、コレ。
せめて泥を落としてから来いってんだよ、ったく」

「はんっ。そこら辺の泥臭い小娘と一緒にしてんじゃないネ。
私のは態々水溜りばかりを歩いてきたにも関わらず
残った、根性ある泥ヨ」

「余計悪いじゃねぇかぁぁぁ!!!
ったく、テメーも一緒に謝れよ、新八に!」

「いやヨ、媚は売らない主義ネ・・・あっ、銀ちゃん!!」

些か変わった相合傘で歩いていると、突然神楽が前方を指差した。
それに釣られ銀時も視線を上げれば、前方に見慣れた姿が。



「・・・何やってんですか、あんた等」



足早に近寄ってきた新八に問い掛けられ、傘差して歩いてる。と
二人して素直に答えれば大きく溜息を吐かれた。

「で?新ちゃんはどったの?」

「・・・どっかの天気予報が大好きなマダオが、
雨降るって言ってんのにも関わらず傘を持ちなし
遊びに行ったみたいなんで、この雨の中
態々シバキに行く途中です。」

にっこりと笑い、さしている自分の傘とは別に持っていた
大き目の傘を掲げながら告げる新八に、ヒクリと銀時の頬が引き攣る。

「いやいや、多分アレだよ?
好きなのはあくまでお天気お姉さんであって、
別に予報が好きな訳ではないんじゃないかなぁ・・・
って、傘の先を目ん玉に合わせてんじゃねぇよ、
危ねぇだろうがコノヤロー!
本当すんませんでしたぁぁぁ!!!」

神楽を負ぶっている為両腕が使えない銀時が素直に謝り、
仕方なく傘を降ろす新八。

「全く、今度やったら刺すだけじゃなく抉りますよ?」

怖い事をさらりと宣言し、新八は銀時達の横に並ぶと、
少しだけ二人の方へと傘を傾けて、元来た道へと
足を踏み出した。

「いや、普通に怖いからね。
さっきの光景も目に焼きついてトラウマ寸前だからね、本当」

それに習うように銀時も歩き出す。
勿論神楽は背負ったままだ。

「大丈夫ネ、抉り出されればそんな光景も
見えなくなるヨ!」

そう言いながら、神楽はクルリと傘を回した。

「更に怖ぇ事言ってんじゃねぇよ!
夢に出そうだろうが!!」

「あ~もう銀さんも神楽ちゃんも!
少しは普通に歩いてくださいよ。傘さしてる意味、ないでしょ?」

 


しとしとと、未だ振り続ける雨の中。
不恰好な相合傘は、ゆったり、そして楽しげに家路へと進んでいった。

*********************************
変則相合傘。

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