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「そう言えば、なんでアンタあんな所で土下座してたんです?」
言え、言えと煩い大人の口を無理矢理手で塞いだら、今度はその掌を
ペロリと舐められ、つい足を踏みつけてしまった。
考えてみれば、銀さんは裸足のままだったので、相当痛かったのだろう。
ギロリと睨まれる。・・・が仕方ないじゃないか。
一昨日のアンタからの言葉から、今この時まで、僕の心は滅茶苦茶
傷ついていたのだ。
そう簡単に言ってやるかっての!!
第一人の手を勝手に舐める方がいけないんだし。
しかし、未だ抱き締められたままだが、「好きと言え」と言う
銀さんからの要求は止まっている。
このチャンスを生かして話題転換だ!!・・・とばかりに、疑問に
思っていた事を聞いてみた。
すると銀さんは、あっけらかんとした顔で、
「んなの知ってたからに決まってんじゃん」
と答えた。
いや、そうでしょうけどね。
でも僕、一応振られた感じだったでしょ?
昨日だってその傷心に赴くまま無断欠勤した訳ですし。
なら、今日だって来るかどうか判らなかったでしょ?
ぎゅうぎゅうと抱き締められてる体を少しだけ離して首を傾げ、見上げると
銀さんが あ~ だの う~ だの言いながら僕から視線を逸らした。
その姿にますます首を傾げ、名前を呼ぶ。
すると銀さんは観念したのか、少し小さな声で呟いた。
「・・・・お妙に聞いた、今日は来るって」
「姉上に?銀さんが?」
まさか変な事は言ってないだろうな・・・そんな思いが顔に出ていたのだろう、
銀さんはコトリと僕の肩に顔を埋めた。
「いや、正しくは神楽が・・・」
「神楽ちゃんが??」
「おう、腹が減って生死の危機、明日にはちゃんと来るかっ・・て」
ちなみに昨日の夜から下のお登勢さんの所に避難中らしい。
銀さんの言葉に、僕は一瞬呆然としてしまった。
「はぁ!?」
なんで僕が一日休んだだけでそんな重大な危機に直面してんの!?
って言うか僕が居なくたって、銀さんがご飯作れば問題ないじゃん。
・・・あ、もしかして・・・銀さんも落ち込んでてくれたのかな?
どうしようって悩んでてくれたのかな?
それで何も手に付かず、結果神楽ちゃんのご飯も作れなかったのかな?
そう思って、ほんの少しだけ嬉しさが込み上げてきた。
「一応・・・な、俺も作ろうとしたんだよ、飯。だけど駄目でよ」
「銀さん・・・」
ボソボソと肩口から聞こえてくる銀さんの声に、僕はそっと手を上げ
その髪に優しく触れ、
「台所にはさ、包丁あるじゃん。だからさ・・・」
あ、一応夢の中の僕の事、気にしてくれたのかな?
包丁見ると、その時の事思い出してイヤだったとか・・・
「見ると、新八を刺しに行かなきゃとか思ってさ。」
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
そのまま見た目通り柔らかい銀髪を力いっぱい引っ張った。
「・・・いてぇ・・・」
「当たり前です!何ですか、その思考回路!!糖ですか!?
糖がドコかをショートさせてるんですか!!?」
「いや、でも我慢したよ、銀さん」
「そんな自慢げな顔しないで下さい。
偉くないですからね!?ある意味偉かったけど、違いますからね!?」
「ま、すっげー心揺れたけどな」
「揺れないで下さい!なんで両想いなのにそんな殺傷沙汰起こさないと
いけないんですか!!?」
「うん、だからな?我慢した俺、すっげー偉くね?」
そう言ってヘニャッと笑い、銀さんは小さな音を立てて僕の米神に唇を
落とした。
「誰かに取られるぐらいなら・・・って思ったけどな。
その考え、すっげー魅力感じたけどよ。
でもその前に俺のモンにして離さなきゃいいだけだもんな」
言いながらも、銀さんは唇を落とすのを止めない。
それが落とされる度に、僕の顔は熱くなっていき、俯いていった。
そして最終的に、銀さんの唇が僕の髪へと落とされる。
「オマエも、オマエの未来も、全部銀さんに頂戴」
言っとくけど、銀さんの執着心は凄いよ?幸せそうに言う
銀さんに、僕はちょっとだけ意地悪な心が沸き起こる。
「・・・駄目ですって・・・言ったら?」
上目遣いにそう言うと、銀さんはニヤリと笑い、
「そりゃあ言うだけ無駄ってもんだな」
だから最初に謝ったじゃん?そう言うと銀さんは僕の後ろ髪を掴んで
顔を上げさせ、僕の元へと唇を落としてきた。
僕の好きになった人は、大人なのか子供なのか
判らないトコがあって。
妙な所で短絡的で、傲慢で。
でもそんな所も可愛いと思ってしまう僕だから。
それなりにお似合いなのかもしれない。
・・・でも、暫くは銀さんを台所には近づけないようにしよう。
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て事で、今度こそ本当に終わりです。
包丁に心惹かれる銀さんが書きたかっただけです。
あ~、すっきり(笑)