[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「銀さんが嬉しいのってどんな事ですか?」
仕事もなく、何時のようにソファに座ってダラダラとテレビを見ていたら、
畳んだ洗濯物を抱えた働き者の少年にそう言われた。
「あぁ?ナニよ、突然」
視線をテレビから外さず答えれば、いいから、なんですか?と再び
問われた。
オマエね~、どれだけの時間俺と一緒に居んのよ。
そんなの決まってるだろ~が。勿論・・・
「糖ぶ・・・」
「糖分関係意外でお願いします」
言いかけた言葉をばっさりと切られた。
あ・・・だよね。伊達に一緒に居る訳じゃないよね。
「ん~・・・じゃあ新ちゃんがべったりしてくれたら嬉しい」
とりあえず怒らせるのを覚悟で答える。
って言うか今ピ○子いいトコだからさ、銀さん集中してるから。
ちょっとだけ邪魔しないでおいて下さいな。
そんな事を思いつつ言ってみれば、案の定新八は無言で立ち去った。
うわ・・・シカトっすか。一応本音でもあったんだけどね。
まぁいいや、後でフォローしよう。今はピ○子だ。
そう思っていたら、新八が直ぐ傍に来るのを感じた。
どうやら洗濯物を仕舞いに行ってただけらしい。
そして ちょっと失礼しますね。 との言葉と共に、直ぐ目の前に
新八の顔が・・・
っておぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!!!ナニコレ!?
何の祭り!?なんで新八が俺の膝に跨ってんの!!?
夢!?妄想!?ドッキリ!?
なんなんだ、ジーザス!答えてみやがれぇぇぇぇっ!!!
あまりの出来事に、自分でも目が真ん丸くなってるのを感じる。
そんな俺の心境に気付いてないのか、目の前の新八は アレ?
とばかりに首を傾げている。
って、こんな状況でそんな仕草って、オマッ!!
痛恨の一撃にも程があるだろう!!
「銀さん、嬉しくないんですか?」
「いやいや嬉しいも何も・・・滅茶苦茶嬉しいわ、コノヤロー」
「なら笑ってください」
新八はそう言うと、ムニッと俺の頬に手をやり、摘み上げた。
いやいやいや、嬉しいけどここは笑うよりも、男前な顔で
次のステップに進めるトコでしょう。
・・・って言うか今のこの顔で男前気取っても、
笑える事山の如しなんだけど・・・
「銀さんってあんまり笑わないですよね・・・知ってます?
笑うかどには福来るって」
「ひや、ひっへるへど・・・」
喋る声も、男前とは程遠いものになってるので、
両手でもって新八の手を掴んで下ろさせた。
そうすると、手と一緒に新八の視線も落ちる。
それを追うように顔を覗き込むと、ポツリと新八が呟いた。
「やっぱり土方さんの言うとおりなのかな・・・」
オィィィィィィィ!!なに、その悲しそうな顔!!
マヨラームッツリがナニ言いやがった!!?
ナニを言い包められたんだ、コノヤロー!!
俺の思いが通じたのか、新八がポツリポツリと話し出す。
「相変わらず仕事もなくってついてない・・・て話してたら、
あんな死んだような目をしたヤローのトコにそう易々と仕事なんか来るか、
福も裸足で逃げ出すだろうが。・・・って。
それで僕も あぁ、そうだな。ってちょっと納得しちゃって」
「・・・て、納得すんなよ、ソレ」
「それで、死んだ目は蘇生不可でも、笑えれば少しは
マシになるかな~と・・・」
「いや、死んだようなだからね?死んでないから。
まだ銀さん、全盛期だから」
「でも笑うと良い事ありますよ?現にその時、土方さんにお昼奢って
貰えました!」
「おぉぉぉぃぃい!ナニ餌付けされてんの!!?」
「なら給料寄越せや、コラ」
「本当、スンマセン」
とりあえず新八に頭を下げながらも、多串くんは処罰決定。
会う度に遠くから石ぶつけてやる、全力で。
「ね、だから銀さん。少しでもいいから笑ってくださいよ~」
福が来ますよ、福が。そう言って笑う新八に、こっちの口元も上がっていく。
馬鹿だね~、オマエは。
そう言って新八の肩に手をやり、自分の懐へと抱え込む。
「銀さん?」
「俺はいいのよ。笑わなくてもじゅ~ぶん」
だって、そんな事しなくてもやって来てくれたのだ。
笑わなくても、傍に居てくれるのだ。
それに・・・
「ただいまヨ~」
玄関から、元気な声が聞こえる。
そして向かってくる足音。
「あ~!!ナニやってるネ、オマエ等!!!」
私も入れるヨロシ。そう言って神楽はソファに上がり、
横から二人に飛びついてきた。
「うわっ!危ないよ、神楽ちゃん」
「ったく、仕方ねぇなぁ」
慌ててしがみ付いて来る新八から片手を離し、それを神楽の背へと
廻す。
この温もりも、オマエが来てからやって来た幸せ。
「で、ナニアルカ、これ」
楽しそうに笑う神楽に、
「ん~・・・銀さんに笑顔を!!・・・みたいな?」
照れ臭そうに笑う新八。
この両手にある幸せ。
とりあえずこれ以上の福はいらねぇわ、銀さん。