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傘に落ちてくる音がしなくなってきたと思ったら、段々と
周囲が明るくなってきたのが判った。
神楽は傘の合間から、ちらりと空を見上げる。
そこには少しながらではあるが、確かに晴れ間が広がっていて、
もう雨は終わりなのだと言う事が判った。
周囲の人達も次々に傘を閉じ、それぞれの行き先目指して歩いている。
けれど神楽は傘を差したまま。
雨が降ろうが天気になろうが、神楽には関係ない。
でも・・・神楽は目の前にあった大きめの水溜りをパシャリと蹴った。
「雨の日はあんま遊べないネ」
神楽の育った星とは違い、ここの子供達は雨が降ると外で遊ばない。
勿論、急に晴れたからと言って、すぐ遊べるものでもない。
この水溜りの様に、遊ぶのを邪魔するものが、出現するからである。
「・・・つまんないネ」
神楽はもう一度水溜りを蹴った。
そして怨みの篭った目を空へと向け、次いでその目を丸くした。
その視線の先には、大きな虹。
あまり見かけないその光景に、暫し神楽は歩くのを止め、じっと
その光景を眺めていた。
「・・・・・あっ!」
どれぐらいそうしていたのか、不意に以前遊び友達から聞いた話が蘇った。
その子曰く、虹の根元には宝物が埋まっているらしい。
「・・・どうせ今日は誰も遊んでないネ」
神楽はニッと笑うと、水溜り等関係ないように大きく足を踏み出し、
虹に向かって歩き出した。
「宝物、宝物・・・う~ん、ナニアルカ?酢昆布は入ってるネ、うん。」
神楽は視線を上に向けたまま、ひたすら虹に向かって歩いていく。
考えるのはその根元にある宝物の事だ。
「後は・・・あ!ご飯を忘れちゃいけないネ!!」
さっきまでつまらなかったのだが、今はなんだか冒険のようで
少し楽しい。
おまけに辿り着けば宝物も手に入るのだ。
神楽の足取りは、一層軽くなっていく。そして・・・
「あれ?神楽ちゃん?」
不意に声を掛けられ、視線を空から戻せば、そこには見慣れた景色が
広がっていて。
「・・・新八?」
「どうしたの?今日は早いね、帰ってくるの」
ニコリと笑う新八がそこに居て。
「お、なんだ。帰ってきたのか?」
「銀ちゃん・・・」
少し視線を上げれば、家の階段から降りてくる銀時が居て。
神楽は思わず、もう一度空を見上げた。
それに釣られるように、銀時達も空を見上げる。
「あ、虹だ」
珍しいですね~。と笑う新八に、そうだな。と微かに微笑む銀時。
そんな二人に、神楽は勢い良く抱きついた。
「ぅわっ!突然どうしたの、神楽ちゃん!」
「おいおい、オマエ今撥ねようとしたろ?人身事故起こす気だっただろ?」
「うるさいネ!それよりドコか行くアルカ?」
「え?いや晴れたから買い物にでも行こうかと思って・・・」
なら私も着いてってやるネ。そう言って神楽は二人の腕にしがみ付いた。
酢昆布には劣るけど、まぁコレで我慢してやるネ。
神楽は不思議そうな顔をしている二人に、ニッと笑いかけた。
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坂田家が幸せならそれでいい(笑)