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屯所に連絡を入れた後、再び倒れてしまった近藤さんの横に座り、
新たに風呂敷から取り出したハンカチを頭に当てる。
・・・うん、本当に何枚合っても困らない・・・て言うか、
何枚合っても足らねぇなぁ、オイ。
ボーっと血の滲んでくるハンカチを見て時間を潰していると、
不意に影が翳ったのに気付いた。
「ん?何をしているんだ?こんな所で」
聞き慣れた声に顔を上げると、其処には通常ならこんな朝っぱらから
往来に居てはいけない人が・・・
いや、別に天下の往来なんだから、誰が居てもいいんだけどね?
それでもやっぱり例外はあると思うんだ。
って言うか、なんでこの人まで!!!?
僕は頬を引き攣らせながら、僅かに腰を浮かせた。
「・・・お早うございます、桂さん。・・・と、高杉晋助・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さん?」
「おいおい、なんだぁ?その取ってつけたような『さん』付けは」
ギロリと睨まれるけど、仕方ないでしょうが。
アンタ、自分が何したのか判ってます?
あぁ、でもつい年上の人に対して尊称をつけてしまう自分が悲しい。
むぅっと口を尖らせば、高杉・・・さんは小さく舌打ちした。
「この場合は驚いて苗字呼び捨てか、
憎々しげにフルネーム呼び捨てだろうが」
「そっちかよ!!
何ソレ、どんだけ呼び捨てにされたいんですか、アンタ!!」
「まぁまぁ、落ち着け二人とも。それに高杉、新八君は今時珍しく
礼儀を弁えた少年なんだ。年上の、しかも初対面に等しいお前を
呼び捨てになぞ出来る訳がなかろう。ん?・・・だがエリザベスの事は
呼び捨てにしていたな?」
どういう事だ、新八君!!と、仲裁に入った筈の桂が真剣な表情で
詰め寄ってくる。
いや、どう言う思考回路してんだよ、指名手配犯。
僕は一先ず落ち着こうと息を吐き、その場に立ち上がる。
「最近は先輩と呼ばせて貰ってますよ。ってか、お二人とも
こんな朝っぱらからこんな所で何してるんですか」
初対面も何も、知り合いたくなかったTOP3に悠々ランクインしてしまう
指名手配犯二人に問い掛ける。
「いや何、昨夜ばったり会ったのでな、呑みに行ったのだ。
この近くに俺の隠れ屋的呑み屋があってな。
あ、銀時には秘密にしといてくれ。あいつはすぐたかるから」
桂さんの言葉に、隣で高杉さん(本人が呼び捨て希望したので
敢えて尊称付き)が あ~、確かに。 と嫌そうに頷いた。
隠れ屋的呑み屋・・・って、その前にきちんと隠れてろよ、テロリスト。
って言うかたかる銀さんも銀さんだけど、その言い方だと
・・・割り勘か、あんた等はきっちり割り勘なのか!?
思わず細かいトコまできっちり計算して出し合ってる姿や
レジを前に「俺が」「いやここは俺が」と言い合ってる姿を
想像してしまい、脱力する。
僕、テレビとか見すぎかな?
想像してた指名手配犯と哀しいほど違うんですけど。
って言うか警察は何してんだよぉぉぉぉお!!!
・・・・あぁ、ここで倒れてたっけ。
とりあえずまだ意識が戻らなそうなので、そのままにしておく。
だって、幾ら朝っぱらから堂々と歩いてる人達であっても
テロリストだしね。
こっちは意識ないストーカーだけど、真選組局長だしね。
ここ、まだウチの近くだしね。
流石に近所で殺傷沙汰は避けて欲しい。
「しかし良い所で会った。」
念の為・・・と、近藤さんを隠すように立ち位置を直していると、
不意に桂さんがそう言い、懐から何かを取り出した。
それは・・・
「ステファンのぬいぐるみ??」
「エリザベスのぬいぐるみだ」
そう言い直すと、僕の方へ差し出してくる。
「今日が誕生日なのだろう?おめでとう、新八君」
柔らかい笑みを浮かべた桂さんにそう言われ、僕は驚きながらも
それを受け取った。
「ちなみに手作りだ。どうだ?細部までリアルに作ってあるだろう?」
そう言われ、思わず受け取った手に力が入る。
あ、良かった。中はフカフカだ。
中までリアルに作られてたらどうしてやろうかと思っていたが、
杞憂だったらしい。
僕はホッと息を吐くと、それを抱き締めお礼を言った。
すると、それを見ていた高杉さんが、
「なんだ、オマエ誕生日なのか?仕方ねぇなぁ。ちょっと待ってろ。
今鳩出してやる」
と言って何やらゴソゴソとしだした。
「いやいやいやいや。え?なんでそうなるんですか?
ってか、本当は誰ですか?」
「鬼○郎なんつったら目ん玉一つ抉り出して仲間入りさせてやるぜぇ。
って、なんだ?万国旗の方がいいのか?
っち!注文の多いガキだなぁ、おい」
「誰も注文してねぇよ!!
大体なんでそんなもの常備してんですか!!!」
「そうだぞ、高杉!!そんなに何でもかんでも懐に入れてるんじゃない!!」
「入れてたからお前も俺もあん時助かったんじゃねぇか。
それにテメェも変なモン懐から出しただろうが、たった今」
「変なモンじゃない!エリザベスだ!!」
「変なモン以外の何物でもねぇな。
大体なぁ、俺達ゃ仮にも指名手配されてるだろうが。
色々準備しとかなくてどうするよ、あぁ?
行き成り懐から鳩が出てきたらビビルだろうがよ。
そうなりゃぁ隙が出来て、こっちとしちゃぁ斬り放題ってもんだろうが。」
まぁ、そんなもんなくても斬りたくなりゃぁ斬るがな、俺は。
ニヤリと笑う高杉さんに、一瞬血の気が引くが、よく考えると
違う意味で引く。
だって、鈍く光る刃が走り、血が舞い、
序に鳩も舞って万国旗がたなびく
阿鼻叫喚図。
・・・何、その血みどろマジックショー。
って、何アンタも納得してんですか。
いや、無理ですから。
確かに逃げる時、エリザベスが懐から出てきたらびっくりするけど、
本物は入りませんから!!
それはもう単なるおかしな二人羽織状態ですから!!!
いやしかし・・・と、真剣に検討し始める桂さんと、
どこか楽しげに何かを仕込みだす高杉さん。
それに一々ツッコミながらも、ふと爽快に晴れ上がった空を見詰めた。
・・・なんで朝っぱらからこんなに疲れてるんだろう、僕。
喉の痛みが気になりだした誕生日の朝でした。
・・・ってかもうどうなってもいいから早く来いよ、警察共。
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すんません。ホント、色々すんませーん!!(土下座)
欲望が押さえつけられませんでしたぁぁぁぁ!!!
その上もう少しだけ続きますι