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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「・・・元気だね~お子様って」

呆れるような口調で呟く銀時の視界の先には、
久し振りに晴れた青空の下、キャッキャッとはしゃぎ回っている
新八と神楽、そして定春の姿が見える。

最近ずっと曇りだの雨だのといったジメジメした天気が
続いていたせいか、鬱憤が溜まっていたようだ。

しかし・・・しかし・・・だ。
幾らジメジメしたのがなくなり、気分爽快な晴れ間だと言っても、
暑いものは暑い。
寧ろ太陽光線が熱い。

新八達に強請られるまま、共に外へと来た銀時であったが、
川原に着いて早々、木陰へと逃げ込んでしまった。

それに最初ブーブーと文句を言われたが、
外に出てきただけマシだと思え。と言うと、
微妙に納得されてしまった。

・・・え?俺って何だと思われてんの?

少しだけショックを受けたが、炎天下に出るよりはマシと
自分に言い聞かせ、ゴロリと寝転ぶことにした。

・・・が、幾ら木陰と言っても眠れるほど涼しくはない訳で。

銀時は寝転んだまま遊んでいる新八達を眺める事にした。


「しかし・・・いいのかねぇ」

あれくらいの年齢になれば、それなりに人の目とか
気にしてカッコつけるものではなかっただろうか。

新八達の年齢を思い浮かべながら、そんな事を考える。

なのに視界の中の二人は、そんな事を気にするでもなく、
おっかけっこだろうか?何やら走り回っている。

・・・と言うか、新八がとんでもなく追い詰められている。

しかも幾ら晴れていると言っても、昨日まで雨が降っていたのだ。
泥が跳ねまくって、二人とも足元が泥だらけだ。
神楽なんて、ワザと水溜りに飛び込んでいくから余計に酷い。

「あ~あ、あんなに泥だらけになっちゃって」

年齢から言ってもありえないし、新八的にもありえないだろう。
だって昨日まで、洗濯物が乾かないと嘆いていたのだ。
あぁ、でも今日は一気に乾くと言って、嬉々として洗濯物を
干しまくっていたっけ。

ならばありか。
・・・や、そんな心配も年齢的にはアウトだろう。

やっぱり違うよな~。と呟く。

だって俺だってそれなりに粋がっていたのだ、あの年代は。
それはもう、今考えると恥ずかしいぐらいに。

・・・まぁ戦場に身を置いていたのだ。
気を張りまくって当然だろう。

あぁ、でも。

銀時はふと思いついた事に、緩く口元を上げた。

不意に出来た休息の時。
気の合う仲間と居るときだけは、格好つける事もなく
ガキみたいに気を抜いていたっけ。

思えばその時の自分達は、丁度あんな感じだったのかもしれない。

着いた泥に気づいたのか、いつの間にか追いかけっこを止めた
神楽し新八は、同じく足元を泥だらけにした定春と共に
川辺へと場所を移していた。

それは泥を落としているようであり、遊びの延長のようであり。

その楽しげな雰囲気を見詰め、銀時は あぁ、そうか。と
ある事に気がついた。

新八達があんな風に子供のように遊ぶ理由。

それは今までの彼等が気を張って居たからだ。
そして今、この場所では気を張る必要がないからだ。

詳しく聞いた事はないが、今までの新八達の環境を思えば、
気を張っていなければどうしようもなかったのだろう。

気を張って。
子供らしくはしゃぐ事もなく、周りに負けないように
懸命に、細い足でまっすぐと。

その足が今、銀時の前で楽しげに跳ね回っている。

 

 

 

 

 


「あ~チキショー暑いなぁ。
いっその事今度は海でも行くか、コノヤロー」

グイッと額の汗と共に目元の水分も拭って、銀時は体を起こし
川辺で遊んでいる子供達の下へと足を踏み出した。

 

そんで気が済むまではしゃぎまくっちまえ、コノヤロー。

******************
父性愛が煌く瞬間(笑)

拍手[3回]

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突然の雨音に窓から外を見れば、結構な豪雨だった。

「・・・アイツ、傘持ってったか?」

少し前、買い物に行くと言って出掛けて行った新八の事を
思い出そうとするが、どうにも思い出せない。

ま、当たり前か。
俺、ソファから動いてねぇもん。

その場所から、玄関を出て行く新八の姿が見える訳がない。

別にその前に

「原チャ出してやろうか?」

と言う俺の言葉に対して、

「今月は余分なお菓子を買う余裕がないんでいいです」

と断られた事に拗ねてた訳ではない。

うん、ジャ○プの続きが気になってただけだから、銀さん。
大体言ってみただけだしぃ?
だから断られてラッキー☆みたいな?
ってかなんで俺が優しさを醸し出すと警戒するんだ、新八は。
別に毎回お菓子が目当てで言ってる訳ねーじゃん。
純粋な優しさからであって、その特典としてあるニケツでの
新八にギュッて抱き付かれるのが目的な訳でもない。
単なる銀さんの優しさだ、優しさ。
完全無欠なるやらしさだってぇの。
・・・あれ?間違えた?

「ま、いいや」

俺は手にしていたジャ○プを放り出してソファから腰を上げた。

とりあえずこの雨だ。
迎えに行っても感謝こそされ、拒絶される事はねぇだろ。
万が一新八が用意周到に傘を持っていったとしても、
傘を差しながら荷物を持つのは辛い筈だ。

「あ~、もう銀さんてば優しいね~」

こんな雨の中お迎えに行っちゃうなんて。
普通ないよ?こんな優しさ。
や、別に好感度上げようなんて考えてないからね?
そんなのしなくても既にMAXだから、俺のは。
寧ろ限界がないから。
天井知らずだからね、これ。

「・・・っと、一応タオル出しとくか」

それとも持ってくか?玄関へと向おうとした足を止め、
一瞬悩む。
だってもし傘を持っていってなかったら、この豪雨だ。
新八は既に濡れているだろう。

・・・え?それってヤバクね?

だってアレよ?着物とか濡れちゃって、
髪の毛とかもしっとりしちゃって。
その上どっかで雨宿りとかしてたら、濡れた袴を持ち上げて
雨水絞ってたりするかもしなんくね?

・・・よし、持って行こう。
ってか早く行こう。

そんな新八を他人に見せるなんて勿体ねぇぇぇ!!!
そう言う新ちゃんを見て良いのは、銀さん限定です!

あ、念の為カメラも持ってくか。

 





とりあえずタオルを一枚ベルトに挟み、部屋の隅で横たわっている
定春の頭を撫で、留守番を頼む。

「・・・そういや神楽も遊びに出掛けてたっけ」

アイツの事だ。絶対雨が降ってようが、構わず遊んでいる事だろう。
しかも曇りだったから、傘を持っていかなかった筈だ。

「絶対ぇ傘の使い方間違ってるよな、アイツ」

ったく仕方ねぇ。と、もう一枚タオルを持ってくる。

女は体を冷やしちゃいけねぇ・・・ってか一応年頃の娘が
濡れたままほっつき歩くなってんだよ。
悪い虫がついたらどうすんだよ。

新八についてくる虫共々、
銀さんがぶっ潰すよ?

まだあいつ等には早いからね、そう言うの。
ってか坂田家は今の状態が完全体なんです。
余分なのは排除だ排除。

「とりあえず新八を迎えに行きつつ、帰りに神楽を探すか」

傘立てからやっぱりあった新八の傘と神楽の傘を取り出し、
玄関を開ける。

「あ、やっべ」

見上げれば先程よりも少し雨の勢いが弱まった気がする。

ヤバイヤバイ、雨が止んでしまったら迎えに行く理由がなくなってしまう。
ってかさっきの勢いはどうした!
もう少し根性入れて
ザカザカ降りやがって下さいぃぃぃ!!

急いで新八の傘を開き、雨の中へと飛び出す。

せめて新八に会うまでは
降り続けとけコノヤロー。

・・・あ、やっぱ会ってからもお願いします。
相合傘したいんで。

・・・ってか出来れば家まで。

******************
坂田の優しさ=坂田のやらしさ。

 

 

拍手[2回]


※「鈍いにも程がありましたぁぁ!!」の続きです。












銀さんが変になった。

・・・や、それは元々か。

 

 

 

 

 

 

「アンタは一体何したいんですかっ!」

何か言いたい事でもあるんですかっ!いい加減銀さんの
異様行動に痺れを切らした僕は、呑んで帰って来た銀さんを
待ち構えて問い質した。

お酒が入ってるってのはちょっとアレだけど、
今夜は神楽ちゃんが僕の家に泊まりに行ってるから
丁度いいし、何よりノラクラとはぐらかすのが上手いこの人の事だ。
もしかしたらお酒のせいでうっかり口が滑るかもしれない。

そう思っての行動だったのだが、唐突過ぎたのか
ソファでダラリと腰を降ろしていた銀さんは何の事か判らず、
キョトンとしている。

や、それもそうか。

「・・・とりあえずお水です」

「ん、あんがと」

コホンと一つ咳を零し、持って来た水を渡すと
感謝の言葉と共にコクリと頭を下げ、銀さんがコップを受け取った。

・・・ちょっと可愛いぞコノヤロー。

だが、そんな事で絆されていては、今夜寝ずに待っていた
意味がない。
もう一度覚悟を決めて問いかけようとしたその時、
一瞬早く銀さんの口が開く。

「で、なんで新ちゃんがいんの?」

今日泊まってくって言ってたっけ?そう言って首を傾げる
銀さんに、少し苦笑する。

「言ってなかったですけど・・・ダメでしたか?」

「ん~ん、大歓迎。
あ、でも大ピンチ」

「大ピンチ?」

銀さんの前にしゃがみ込み、見上げたまま首を傾げると
再びコクリと白いモコモコが頷いた。

「銀さん、新八のせいで大ピンチ」

その言葉を聞いた瞬間、体中の血が一瞬にして下がるのを感じた。

え?何で・・・?
もしかして僕の気持ちに気付いてる?
気付いた上で、どう対処していいか判らなくてピンチって事?

震えそうになる指を互いの手でギュッと掴み、
序に膝も押さえ込んで目の前の銀さんから目を逸らした。

そう考えると、銀さんが変になった理由がつくような気がする。
だってあれ程僕を悩ませていたスキンシップがなくなったのだ。
それも全く・・・と言う訳ではなく、何時もの様に手を伸ばしたものの、
直ぐに慌てたようにその手を引っ込める・・・と言った具合に。

それは、僕の気持ちに気付いて。
それでもってそれに答えられない、理解できない、と言う事だろう。

だから僕に触れない。
僕の気持ちにも触れない。

それは僕の願っていた、大人の反応だ。

でも・・・思わず視線の先が滲んでいく。

例え願っていた事だとしても、やっぱり辛い。

けれどそれを銀さんに気付かせたくないので、ギュッと唇を噛み締めた。


「・・・て言うか新八がピンチ?」


俯いた僕の頭の上から、そんな言葉がポツリと落ちてきた。
その言葉に、少しだけ・・・と言うかかなりカチンと来た。

うっせぇよ!!んなの判ってんだよ!
既に頭がいっぱいでどうしようもないんだよ!!
ってかここまで大人の対応してきたんだから、
最後まできちんと対応しろよ!
見逃せよ、そこら辺は!!

今度は違う意味で震えだした手をギュッと握り込む。
だが、上から落ちてくる言葉は止まる事を知らない。

「うわ~、マジヤバクね?
だって今、深夜に二人きりじゃん?
しかも俺、ちょっと酔ってんじゃん?
ヤバイ、マジこれヤバイよ」

・・・いや、アンタの頭がヤバイよ。
何?この人、僕に襲われるとでも思ってんの!?
そりゃ僕も男だけど、想像でもやめてくなんい?
一応恋に夢見てる年頃だからね?僕。
引くから、本当

幾ら好きな人だと言っても、さすがにコレはない。
と、一言言ってやろうと思わず顔を上げた僕の視界に入ってきたのは・・・


「・・・なんですか、コレ」


何故だか神妙な顔をして腰に巻いてあるベルトを差し出している
銀さんだった。

「ベルトです」

「いや、それは見れば判ります。
ってかなんで差し出してんですか?くれるんですか?これ」

もしかして思い出の品というヤツだろうか。
そう思い聞いてみると、銀さんはフルフルと頭を振って答えた。

「じゃなくて、これで銀さんを縛って下さい」

・・・すみません、
幾らなんでもそんな思い出はいりません。

その時の僕はとんでもない顔で引いていたのだろう。
銀さんは慌てたように身を乗り出してきた。

「ちょ、勘違いすんなよ!?
銀さんそんな趣味ないからね?
寧ろ縛るほうだから。
身も心も縛り付ける方だからぁぁ!!」

「や、どんな趣味だろうと別にいいですけどね。
僕を巻き込まなきゃ。
と言うか、それなら何なんですか?」

呆れたようにそう言えば、再び真面目な顔になった
銀さんが口を開いた。

「だから、オマエを巻き込まない為だろうが」

・・・はい?

訳が判らず首を傾げると、銀さんは差し出していたベルトを
握り締め、乗り出していた体を元に戻した。
そしてソファに横たわり、ベルトを掴んだままの手で顔を覆って
バタバタと暴れだr。

「ちょ、銀さん?」

「あ~、もうマジヤバイ!オマエ可愛すぎ!!
しかも俺、理性弱すぎ!!」

「は?」

「どうするよ、もう。だってコレ、シャレになんねぇって。
深夜に新ちゃんと二人っきりって!
ただでさえ二人っきりってのがヤバイのに、深夜って!!
なんかもう告る前に
手が出そうなんですけど!」

キャーキャーと暴れる銀さんに、僕の頭は真っ白だ。

えっと・・・これは嫌過ぎてそれを告げる前に
殴りたくなってくる・・・って事かな?

「いやいや、でもそんなんダメだから。
新ちゃんの事大事にしたいからね、銀さん。
新ちゃんを守るのが銀さんの仕事だから。
って事で新八、これで銀さんを縛ってください」

幾分落ち着いたのか、緩々と首を振って銀さんが体を起こし、
再びベルトを僕の方へと差し出してきた。
僕は訳が判らないものの、その真剣な表情についベルトを
受け取ってしまった。

しまったのだが・・・

「えっと・・・別に僕はいいですよ?」

うん、例え殴られても、それはそれできちんと終われそうだ。
それに大事にしたいって言われただけで、もう十分だし。

そう告げると、クワッと銀さんの目が見開いた。

「ばっかやろぉぉ!!
もっと自分を大事にしやがれ!
言っとくけどアレだよ?銀さん凄いからね?
こう見えてちょっとS入ってるから!!」

「いや、Sなのは知ってますけど・・・」

「それによぉ・・・」

銀さんの剣幕にちょっとビビッていると、ポンと肩に両手を
乗せられた。
そしてそのままグイッと抱き込まれてしまう。

「え?ちょ、何?銀さん!?」

慌てて引き離そうとするが、何分相手は銀さんだ。
大きい体はビクともせず、そのまま肩口へと顔を埋められた。

「・・・俺は大事にしたいよ。
だって大好きだもん、新八の事。
だからこんな勢いに任せて手ぇ出したくねぇんだよ」

耳元でボソボソと言われ、くすぐったさに首を竦めるが、
それ以上に銀さんの言葉が僕の心臓を締め上げた。

え、何コレ。もしかして銀さん・・・

僕はウリウリと肩口に顔を埋めている銀さんの背中を
ポンポンと叩き、問い掛けた。

「ね、銀さん。なんでベルトで銀さんを縛らなきゃいけないの?」

「そりゃオマエがここに居るからだよ」

「居ちゃダメでした?」

「ううん、居て欲しい。出来ればずっと」

「・・・なんか矛盾してません?」

「仕方ねぇだろ。男の理性はあってないようなもんなんですぅ。
特に新八を前にした俺にとっては。」

ブツブツと文句を言う銀さんに、僕の口元は段々と笑みを浮かべていく。

もしかして・・・ねぇ、もしかして銀さん。

心に浮かんできた事を確実にする為、僕は最後の質問を
銀さんに投げかけた。

「僕の事、好き?」

「うん。ってか寧ろ愛してる」

でも無理強いは嫌だし~、いやそれも好きだけどね。なんて
物騒な事も言っているが、それは無視だ。

へへへっと笑みが零れ、僕はギュッと銀さんの体を抱き締めた。
それが気持ちよかったのか、銀さんの声が段々と眠そうなものへと
変わっていく。
それに慌てて、僕は銀さんの名前を呼んだ。

「ね、銀さん銀さん。
僕もね、銀さんの事大好きで愛してんですよ?」

知ってました?そう聞くと、首元でニヘラと笑う気配がした。

「マジでか」

その言葉と共に、ずしりと抱き締めていた体が重くなった。

「銀さん?」

不思議に思い、名を呼んでみても答えはなし。
力を振り絞って銀さんの体を起こしてみると、
そこにはなんとも幸せそうな顔で寝こけている銀さんが居た。

それがなんとも間抜けで可愛らしくて。

僕は呆れるやら嬉しいやらでどうしようもなかった。

うん、ロマンの欠片もない告白だったが、ある意味僕等らしくて
いいのかもしれない。

あ、でも・・・

「僕の一世一代の告白、忘れてたら承知しませんからね?」

どうか記憶に残っていますように。と願いを篭めて、
間抜け面の鼻先にチュッと軽く唇を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


次の朝、目覚めた銀さんは、夕べの事が本当にあった事か。
それとも自分の妄想か判断がつかず、
悶々と悩んでいたりして・・・

・・・うん、当分禁酒ね、銀さん。

***************
一応完結。
 

拍手[8回]


 

どうやら弟という風には思っていなかったらしい。

・・・なら一体何なんだ?

 

 





ボーっとジャ○プを掲げながら、部屋の中をチョコマカと
動き回る新八の気配を追っかけてみる。

これはもう癖だ。

だってコイツは結構オッチョコチョイで、目を離すと
危なっかしくて仕方がねぇ。
いっその事、ずっと俺の傍に置いておきたいぐらいだ。

そうすりゃ安心だし、何より気分が良い。

って、だからなんでそうなんだよ、俺。
や、確かに気分良いけどね?なんかほんわりするってぇのか、
ホコホコするってぇのか・・・
あ、でも動悸が激しくもなるんだよな。

・・・やっぱ危なっかしくてハラハラしてんのか?俺。


思わず考え込んでいると、掃除が終わったのだろう、
パタパタと歩き回る気配が止まった。ちらりと見ると、
新八は時計に視線を向けたまま微かに首を傾げ、小さく頷いていた。
どうやら夕飯の支度に取り掛かる事にしたようだ。

「今夜はお素麺にしましょうか?」

お登勢さんから貰ったのがいっぱいありますし。
そう言われ、俺の頭には素麺がポカリと浮かぶ。

素麺かぁ、そう言えば今年はまだ食べてねぇな。
あれ、俺的には味も薄いしそんなに腹に溜まった気が
しないんだけど、新八が作ると美味しいから不思議なんだよな。
あ、そう思ってたらものっそい腹が減ってきた。
少し多めに茹でといて貰うか。
・・・って言うか・・・

「確か去年、上の方にしまっちまっただろ、器」

うん、当分使わないからって言われて、上の棚に仕舞った記憶がある。
ジャ○プから目を離して視線を向ければ、新八も
その時の事を思い出したようだ。

あっ と小さく口を開けてこちらを見ていた。

それを見て一瞬心臓が飛び跳ねたが、なんとか無視して寝転んでいた
体を起こした。

・・・ってか本当、何この不整脈。

 

 

 

 




自分でも取れると言い張る新八を軽く流し、俺は上の棚から
取り出した硝子の器を取り出した。

うん、多分取れるだろうけどさ、やっぱ危ないじゃん?
そう思ってハラハラしちまう俺の心臓も危ないじゃん?
だからいいんだよ、これで。

こう言うのは銀さんの仕事です。

そう言うと、新八は少し口を尖らせて顔を伏せ、
それでも「有難うございます」と礼を述べてきた。

・・・や、判るんだけどね?
なんとなくこう・・・男としてのプライド?
そう言うのが傷付けられるって言うの?
多分今が一番そう言うのに敏感なお年頃だしさ。
でもそれでもこうしてお礼言えちゃう新八が可愛いってぇか、
それを判ってて構いたくなる俺が笑えるってぇか・・・

・・・やっぱ可愛いわ、うん。

思わず手が出て、新八の頭をワシワシと撫でていると、
新八は嫌がるように頭を振って俺の手を落とし、
じっとりと睨み上げてきた。

・・・ちょ、それ反則っ!!
何か気のせいか頬がほんわり赤くなってて?
目もちょっと潤んでたりして?
その上上目使いで!?

・・・ヤバイ、本気でヤバイ。
なんかものっそく触りたい。
頭なんかワシャワシャしたいし、やわっこそうなそのホッぺを
プニプニしてぇ!
ってか寧ろギュゥッて抱き締めてぇ!

って、なんでだぁぁぁ!!?
ちょ、これ本気で違うだろ。
弟とか思ってるヤツに対して思う事じゃねぇだろ!?
ってか、多分家族に対して思う事でもなくね?

・・・あれ?でもこれって前から思ってたよな、俺。
頭なんか普通に撫でたい・・・ってか撫でてるし、
ほっぺプニプニしたいし、膝枕して貰ったりしてると
なんか幸せで動きたくなくなるし・・・あれ?
ちょ、本気で待てよ?これってさぁ・・・

思わず手をワキワキさせていると、新八が仕事がどうのとか言ってきた。

・・・が、俺としてはそれ所ではない。
心臓はシャレになってねぇし、
思考もシャレになってねぇ。
なんかものっそい所に
辿り着きそうな按配だ。

なのでどんな言葉を返したのか自分でも判らなかったが、
聞いた新八は頬をますます赤らめ、下を向いてしまった。

ぅおおおおおおおおおいっ!!!
それもう心臓がどうのとかって話じゃないからっ!
なんか電流走ったから、
全身にぃぃ!!!
あぁ、ダメだ。なんか判ったわ、これ。

ずっと傍に置いときたくて?
傍に居ると幸せで?
何時だって触れていたくて?

んなの好きって事に決まってんじゃねぇか。

あ~、くそ。何が弟だよ、馬鹿じゃねぇの、俺。
そんな建前振りかざして、逃げてんじゃねぇっての、本当。
って言うか他のヤツラは気付いてたんだな。

だからあんなに犯罪者を
見る目で見てたわけだ・・・

っておぉぉぉぃい!!!
なんで犯罪者!?ってかバレバレかよっ!
チキショー、本当に犯罪者になってやろうか、コノヤロー。
主に傷害的な。

あぁ・・・もう本当どうすっかね、コレ。
や、気付いたからには頑張るけどね?銀さん。
それはもう色々頑張りまくるけどね?

でも・・・なんか恥ずかしいんですけどぉぉ!!?

本当、少し前までの自分に問い掛けたくて仕方がない。
なんであんなにベタベタ触れていたのかと。
こんなん気付いたらマジ出来ねぇわ。

セクハラ最悪とか思われるの嫌だし。

あ・・・ヤッベ。もうそう思われてたらどうしよう。
や、でも大丈夫・・・だよな?
だって何だかんだ言いつつ、優しくしてくれるし。
・・・や、でも同情ってのも・・・
いやいや、大丈夫。きっと大丈夫だ。
新八はちゃんと俺の事好きだって!
そう言うオーラ、滲み出てんもん。

・・・ま、それが恋愛感情かどうかは
判んねぇけどな。
でも根性でそうするんだけどな、
銀さんが。

よし、頑張れ、俺!!とか思ってたら、新八がムスリと
口を尖らせて「鈍ちん!」と言ってきた。

・・・どうしよう、その言葉だけで倒れそうなんだけど、俺。

ってそんな場合じゃねぇ!
どんな些細な事でも、新八に嫌われてたまるかっ!

俺は慌てて思考を回し始める。
と言うか、そもそもなんで鈍ちん?
今までの話の流れからすると・・・やっぱ身長の事か?

そう答えを出した俺は、急いで慰めの言葉を紡ぐことにした。

 

 

 


その晩、夕飯の素麺にはピンク色の素麺が一本入っていて、
本日何度目かの胸キュンを味わう羽目になったのは言うまでもない。

・・・ってかコレ、フラグじゃね?

******************
誰かこのフラグ折ってください(待てι)

拍手[6回]


 

※「鈍いにも程があるって本当だね」の続きになります。



 








どうにも予想以上に仲良しさんだったらしい。

・・・あれ?これって普通じゃなかったの?

 

 

 

 


「いや、普通じゃねぇよ、それ」

「マジでか」

先日、暴力警察から言われた事が気になった俺は、
長谷川さんと呑んでいた時にそれとなく聞いてみたりした。

あ、勿論匿名ね、匿名。
俺の知り合いにさ~ってヤツ。
ま、そんな知り合いが居たら引くけどね、実際。

・・・あれ?やっぱ普通じゃねぇのか?これ。
家族ってこんな感じじゃなかったっけ?
なんか普通に引いちゃったんですけどぉぉ!?

自分の思考に微かに首を傾げながら、泡の減ったビールを
喉に流し込む。

あ~、やっぱ夏はこれだわ。

「ってかさ、神楽ちゃんとは別に手なんか繋がないんだろう?」

折角気分が良くなったってぇのに・・・

その言葉に、ちょっとげんなりとした視線を向ける。

「・・・んな事考えた事もないんですけど。
何?長谷川さんってそんな趣味あんの?
ちょ、止めてくなんい?今度からウチの子に会っても
話しかけないでよ?」

「話しかける所か会った瞬間、
酢昆布買わされてるけどね、今。
ってかそんな事考えたことも無いって!
だからその犯罪者を見るような目つき止めてくれるぅぅ!!?」

泣きそうな声で訴えられたので、一先ず舌打ちして
視線を外してやった。

しかし・・・と、とりあえず言われた事を考えてみる。

確かに神楽と手を繋いだ事はないし、考えた事もない。
ってか繋いだら最後、メキッとやられそうだ。
あ・・・でも新八とは良く手を繋いでんだよなぁ。

なんだか仲良さ気なそれは、見ていてとても微笑ましいものがある。

あるのだが・・・ズルイよなぁ。俺とはそんなに繋いでくんねぇのに、
神楽とは真昼間でも関係なく繋いでんだもん。
ズルくね?俺とだって微笑ましい感じになると思わね?
チャーミ○グリーンみたいな感じになると思わね?

「・・・や、それ大抵夫婦だからね?設定」

しかも古いから。とげんなりとした口調で言われ、
俺は首を傾げた。

「・・・・あれ?そうだっけ?
でもよ、弟みたいなもんなんだから、手ぐらい繋いでもいいだろ
・・・・・・って俺の知り合いが言ってんのよ」

「だから神楽ちゃんはどうなんだって・・・」

「その知り合いに神楽は居ねぇよ。
大体アレは思春期の娘だよ?
最近なんて、俺のパンツと一緒に洗濯すんなって怒ってくるからね!?
じゃあ新八に洗濯物任すのはどうなんだって話だよなぁ!?」

「え?新八君、任されちゃってんの!?」

「お妙のと一緒に洗ってるらしいぜ?」

「・・・思春期の男の子として
それはどうなのよ、新八君」

同情気味に長谷川さんは呟き、焼き鳥を一本口にした。

本当なぁ、ちょっと可哀想だよなぁ、新八。
あ、でも改めて考えてみると、倹約家な新八の事だ。
神楽はお妙のと洗い、自分のは俺のと洗ってたり
する訳だ。


・・・え?これってヤバくね?



だって新八のと俺のが洗濯機の中でグルグルよ!?
時に絡まっちゃったりしてんのよ!?

・・・ヤバイ・・・ヤバイわ、それ。
これは俺のと新八のも分けなきゃダメかな?

「なぁ、長谷川さん」

そう問い掛けると、長谷川さんはサングラス越しでも
判るような哀れみの視線
を投げかけてきた。

「・・・うん、新八君の為にも分けた方がいいかな?」

「やっぱりか」

「ってかさ、洗濯物一つでソコまで考えるって時点で
弟ってのはないわ、銀さん。
序にそんな思春期的な事をその年で言うのもないわ」

「バカヤロー、二十代を差別すんなよ!?
心は何時でも思春期丸出しだコノヤロー。
ってか弟云々は俺の知り合いの話だって
言ってんだろうがぁぁ!!」

「うっせぇよ!
さっきから混ざりまくってんだよ。
真実が入り乱れてんだよ!
判り易過ぎんだよぉぉ!!!」

「マジでか!?
やべぇな、ソレ!!」

思わず長谷川さんの襟首を掴んで揺すりまくっていると、
そんな事を言われたので少し我に返る。

うわ・・・どうすんだよ。
匿名なつもりで色々相談しちゃったよ、長谷川さんなんかに。
・・・ってかよ。

離した襟首を少しだけ苦しそうに整えている長谷川さんに
チラリと視線を向ける。

「弟じゃないならどう思ってんだ?」

いや、俺じゃなくて俺の知り合いな?

そう問い掛けたら、しつけぇよっ!!と、何故だか少し涙声で
怒鳴られてしまった。

 

 

 

・・・・ちっ!使えねぇヤツ。

****************
使えないのは坂田の頭。

拍手[4回]


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