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夕ご飯の片づけを終え、居間へと戻ると銀さんがソファにダラリと座り
テレビを見ている所だった。

神楽ちゃんはさっきお風呂に入ったから、今ここに居るのは銀さんと
多分ここからは見えない所で横になっている定春だけ。

銀さんは僕が台所から出てきたのに気付いたのか、視線をテレビから外し、
チラリとこちらを見ると、

「おぅ、お疲れ~」

と言って再び視線を戻してしまった。
その態度は何時もと変わりない。

けど僕は知ってる。
こうしている今も、銀さんに色々と我慢を強いていることを。
色々と、見逃してもらっている事を。

それはこの間、妙に真剣な顔の銀さんから 僕からも言葉が欲しい・・・と言われ、
確信へとなったのだけれど。

 

銀さんは何時でも言葉をくれる。
そりゃ~もう、こちらが恥ずかしくなるぐらいの言葉を。

けれど、それを聞くと、僕は嬉しいやら恥ずかしいやらで
いっぱいいっぱいになってしまうのだ。

本当は僕だって言いたい。
告げたいのだ。
この溢れんばかりの気持ちを、銀さんに。

 

けれど、色んな感情がいっぱい溢れ出し過ぎてて、
結局何一つ言葉として出てきた試しはない。

 

本当子供だ、僕って。

その証拠に、銀さんの本気を送られると、つい体が竦んでしまう。

想いが怖い訳じゃない。
言葉が重い訳でもない。

でも・・・見慣れてないのだ、そんな瞳は。

子供な僕の気持ちを理解しているのか、時折銀さんは
軽い言葉を僕に送ってくる。
頑張って、本気を小出しにしてくれている。

それは銀さんの優しさだ。
ちょっと有難い。

だけど僕はそんな優しさは嫌いだ。
だってムカつく。

矛盾してるけど仕方ない。
だって僕はまだまだその手の事に関してはお子様で、
けれども凄く好きなのだから、銀さんが。


大体普段は子供っぽいくせに、こんな時だけ
大人の余裕ぶりやがって!!

あの時だってそうだ。
結局、僕が頑張って頑張って、勇気を出そうとしている時に、
あっさりと妙な優しさを出してきやがった。

・・・まぁ報復はしたけどね。

けれど次の日にはまた普通に戻ってた。
時折僕が噛み付いた痕に手を添えてニヤけてはいたが。
けれど、以前のように言葉と態度を僕に送り続け、僕には
何も求めようとしなかった。

・・・なんか思い出したらムカムカしてきた。

僕はのんびりとこちらに背を向けている銀さんへと足を踏み出した。

大体ねぇ僕だって銀さんの事、負けないぐらい好きなんですからね!!
やれば出来る子なんですよ、僕!

背後に立った僕を不思議に思ったのか、銀さんが顔だけこちらに向けてきた。

「何?どうかしたのか?」

不思議そうに見返す銀さんに、少しだけ僕のムカつきが収まる。
・・・と、同時に恥ずかしさが顔を出してくる。

が、ここで引いちゃダメだ!頑張れ、僕!
子供なりの覚悟を見せてやれ!!

僕は覚悟を決めると、その頬に向け唇を落とし、小さく言葉を吐き出した。

その瞬間、銀さんの目が面白いように見開かれる。

「し、新八!?今、お前・・・!!」

そして凄い勢いでこちらに体を向けてくるので、僕はさっとその場から
体を離すと、

「今日はもう帰ります!お休みなさ~い!!」

と一方的に告げ、一気に玄関を目指した。
後ろから銀さんの慌てた声と、何かが倒れる音がしたけど、無視する。

だってなんか、今捕まったらまた見慣れない銀さんが居そうなんだもん!!

ごめんなさい、色々偉そうな事思ったけど、やっぱまだ無理。
もう少し待って下さいぃぃぃ!!!
今の僕にはアレが精一杯ですぅぅぅぅ!

玄関を勢い良く閉め、そのまま家に向って走り出した。

恥ずかしかったけど、かなり勇気がいったけど・・・
でも何でだろう、今すっごく幸せだ。

僕は走りながらニンマリと笑みを浮かべると、万事屋に居る銀さんを
思った。

こんな気持ちになれるなら、もう少し頑張れるかもしれない。
少しずつでも、気持ちを出していけるかもしれない。

それは色々と我慢してくれてる銀さんの頑張りとは
比べられないかもしれないけど。
銀さんのくれるモノと比べれば些細なモノかもしれないけれど。

だけど頑張るから、きっと頑張るから。

「今に見てろよ、コノヤロー」

空を見上げて一人、エールを送った。

****************************
密かに頑張ってる新ちゃん。
だからもう少し頑張って我慢しとけ、坂田(笑)

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大分過ごしやすくなった午後、神楽は既に弾丸のように飛び出して行って
ここにはいない。

居るのは俺と新八の二人だ。

おまけに新八は今の時間までにやるべき事はやってしまったらしく、
のんびりとお茶を飲みながらテレビを見ている。

・・・これってチャンスじゃね?

俺は日頃から思っている事を何気なく口に出した。

 

 

 

「・・・・・は?」

「いや、『は?』じゃなくて。そんな白けた目で見るのでもなくて。」

折角ちょっとだけ勇気を出して聞いてみたのに、新八から返って来たのは
間抜けな返事と白けた視線。

俺は軽く息を吐き、寝転がっていたソファから体を起こした。

「銀さんさ、ぶっちゃけお前の事好きじゃん?
言葉にも出してるし、態度にも出しまくりじゃん?」

なのにお前から言って貰った事、ねぇなぁと思って?そう言って新八を
見ると、居心地悪そうに視線を手に持っている湯呑みへと落とした。

そう、俺は新八が好きだ。
それを告げた時、新八も嬉しそうな恥ずかしそうな、そして泣きそうな顔で
同じ気持ちだと答えてくれたのだ。

あれは・・・ヤバかった、本当。
だって嬉しすぎて泣いたからね、俺。
恥ずかしがって顔を上げなかった新八、最高。超空気読んでる。
だってあの顔は流石に見せられない、年上として。

で、それからと言うもの惜しみなく、満遍なく、俺は新八への気持ちを
言葉にし続けてきた。

・・・ま、自然と出ちゃうんだけどな。
止められないんだけどな、自分では。

けれど、新八はと言うと・・・大抵頬を染めて頷くか、嬉しそうに笑うか
だけで、言葉にして返してくれない。

しかもなんか最近では時折怒るようになってきた。
なんでだ??

とりあえずその理由を聞くと、新八はムスッと小さく口を尖らした。
チクショー、そんな口すんな、ちゅうすっぞ。

ぼんやり見詰めていると、言い難そうに新八が口を開いた。

「・・それは・・だって銀さんが、軽く言ってるような気がして・・・」

新八の答えに、俺は あ~・・・と微かに視線を上げた。
確かにそんな感じに聞こえるよう、ワザと言ってる時もある。
だけど・・・

「そりゃあお前・・・アレだ・・・」

俺が気持ち全部乗っけて言うと、怖がるじゃん、お前。

多分本人は無意識なんだろうけどな、ちょっとだけ怯えた感じになるんだよね。
まぁ新八はまだ子供だしな。
俺も自分の本気加減を自覚しているだけに、それも仕方ねぇって
思うしな。

だからもう少し、時間を掛けて少しずつ慣れて貰おうって
思ってたりしたのよ。


でも、それで本気に取られてないってのは、困る。


俺はじっと新八を見詰めて、言葉を続けた。

「それでも、俺の言葉は全部本気だぜ?」

それは判ってくれ。そう言うと新八は俯いたままコクリと頷いた。

あ~・・・ヤバイヤバイ。今気持ち全部乗っかってたっぽくね?
ここで怖がらせてどうすんだよ、俺。
大体なぁ、新八が戸惑うのも判るんだよ。
だって俺だよ?銀さんの本気だよ?

自分でも引くってぇの。
そんな重くて鋭くてドス黒いの。
本当、性質が悪ぃったらねぇだろ、おい。


だからもう少し・・・もう少しだけ様子を見なければ。


俺は軽く息を吸い込むと、パンと膝を叩いた。
その音にびっくりしたように新八が顔を上げる。
俺はそれにニヘラと笑いかけるとソファから立ち上がり、
新八の隣へと移動して腰を降ろした。

「ま、そう言う訳だから。偶には新ちゃんからも言ってくれや」

出来れば今すぐ。と、固くなっている新八の背凭れに腕を回し、
ニヤニヤと笑って告げた。
すると一気に新八の顔が赤く染まる。

「な、何がそう言う訳なんですか!!そう軽々しくいえません!」

「いやいや、軽々しくないよ?大事だよ?銀さんだって
不安になる時もあるんだよ?あんまり言ってくれないと」

そう言うと、新八はうっと言葉に詰まり、僅かに視線を逸らした。

「そう言うのは・・・その・・僕の態度から察して下さいよ」

銀さん、大人なんだし。恥ずかしそうに言う新八。
その態度からばっちり察する事が出来たが、まだダメだ。

これからも頑張らなければいけない俺に、もう少しご褒美をくれ。

「銀さん、心は何時でも少年だから判りません。
ってか言うのがアレなら態度でもいいぞ~。もう少しはっきりとした」

そう言って俺はチョイチョイと自分の頬を指差した。
ここで唇を指差さなかった俺は、えらいと思う。

・・・が、新八は何の事か判らなかったらしく、コトリと不思議そうに
首を傾げた。

いやオマッ、それ・・・・

もう少し自分大事にしろぉぉぉぉぉ!!?

俺の理性を舐めんな!案外ヤワだから!!
って違う違う、我慢しろ~、お前はやれば出来る子だぞぉぉ銀時ぃぃ。
これを乗り切ればご褒美が待ってるぞ~。

心の葛藤をなんとか表に出さず、俺はもう一度頬を指差した。

「ちゅうだよ、ちゅう。言うのが恥ずかしいならちゅうして下さぁい」

そう言うと新八の顔が、火が出るんじゃないかってぐらい赤くなった。

「も、もっと恥ずかしいじゃないですかぁ!!!」

「俺は嬉しいけどな」

さぁ、どうする?そう言って背凭れに回していた手を新八の肩に置き、
ついでに膝の上で握り締めていた手も掴んでしまう。

これで新八には逃げ場は無い。

どっちが来たとしても俺としては嬉しい限りで、思わず頬が緩む。
見れば新八は漸く自分が置かれた立場に気付いたらしく、
悔しそうにこちらを睨んでいた。

・・・てな、お前顔真っ赤にして、涙目でそんな事しても
逆効果だから。
張り切る一方だから、銀さん。

「新八く~ん?」

ニマニマと呼び掛けると、漸く覚悟が決まったのか、新八はグッと唇を噛み締め、
徐々に顔を近付けて来た。

お・・・これはちゅうの方か!?
よし来い!そして頑張れ、俺の理性!!

・・・と、胸をときめかしたその時。

 

 

      カプリ

 

 




「へ?」

予想していた感触とは全く違ったものに、俺は一瞬呆けてしまう。
その瞬間、掴んでいた力が弱まったのだろう、新八は素早く
俺の手を振り払い、ソファから立ち上がると、さっと距離を取った。
そして真っ赤な顔を俺に向けると、

「このセクハラ上司!!」

という言葉と可愛らしい舌を出し、居間から立ち去ってしまった。

それを呆然と見送る俺。

いやだって今・・・えぇ!??

そっと一瞬噛まれた頬に手を当てる。
そしてそのままボスンとソファに倒れ込み、うつ伏せになって丸くなる。
追い掛けようにも、今の俺の顔では無理。行けない。
序に体の方も無理、これ。

「くそ!・・・やられた!!」

言葉でもなく、ちゅうでもなく、噛み付きって・・・

「これって少しは進展してんの?」

それとも後退??そう呟き、俺は大きく息を吐き出した。


何にせよ、子供の行動も結構性質が悪い。

*******************************
ヘタレ坂田万歳☆

 

 

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仕事も無い暇な午後。
隣り合ってソファに座り、テレビを見ていたら不意に新八の視線が
こちらを向いているのに気が付いた。

それにチラリと視線を向け、目で問い掛けると、
どこか感心したように新八が呟いた。

「銀さんって色、白いですよね~」

その言葉に、俺は深々と息を吐く。
本当、何回も言ってるけどな?
寧ろ理解するまでしつこく言い続けるけどな?
銀さんのこれ、銀ですから!!
決して白髪とかじゃないですからぁぁぁぁ!!!

そう言うと新八はキョトンとした顔をし、次に苦笑した。

「いや違いますよ。髪の事じゃなくて肌の色です。
銀さん、半端な着方してるくせに両腕とも白いじゃないですか」

「え?ちょっと待って?なんか今酷い言葉が混じってた気がするんだけど。」

「ほら見てくださいよ。僕なんてちゃんと着てても
少し焼けちゃって・・・」

「スルー!!?てか今もなんか混じってたよね?
明らかに混じり込んでたよね!?
胸を突き刺す凶器と言う名の言葉が!!」

一生懸命訴えるが、新八は無視してスッと袖を上げ、
俺の腕と自分の腕を比べ始めた。

・・・ね、ちょっと泣いていい?銀さん。

「うん、やっぱり銀さんの方が白いや」

「・・・まぁ焼けない方だしな、銀さん。」

寧ろ赤くなるな。比べられていない方の手で頭を掻きつつそう告げると、
新八は うわ、痛そうですね~。 と僅かに眉を下げた。

「後、蚊とかに食われてもなんか痛々しいぞ?」

「痕、ばっちり出来そうですもんね」

そっと俺の腕を取り、マジマジと見詰めながら頷く新八に、ちょっとした
悪戯心が芽生える。

俺はニンマリと口元を上げると、新八の耳元へと口を近づけた。
そして

「ちなみに、キスマークも・・・な?」

低い声で、そう囁く。
こう言えば新八の事だ、真っ赤になって慌てるだろう。
さっき俺を苛めた罰だ、俺も苛めてやる。

そう思い、ニヤニヤとその後の新八の動向を見守っていると、俺の予想を反し
新八は へ~ と呟くと、俺の腕を手に取り、比較的柔らかい内側に
唇を押し付けた。

そしてチュウ チュウ と吸い付き始める。



・・・・・・・・・・・・え?




突然の事に体が固まり、何も出来ない俺を余所に、新八は何度か吸うと
パッと口を離した。
そして俺の腕に赤い痕が付いたのを確認すると、

「本当だ!結構簡単につきましたよ」

と、満面の笑顔を俺へと向けてきた。


あ~、本当だね~。簡単に出来たね~。
・・・って、簡単にやり過ぎだ、おいぃぃ!!!!

ちょ、本当もう勘弁してください。
何コレ、新手の拷問!!!?
ってかその笑顔、子供が新しい玩具見つけた瞬間のと一緒だよね?
やましい大人の事情とか全く判ってないよね!?
寧ろ超ほのぼのムードだよねぇぇぇ!!!?

もう一回・・・と、楽しそうに口を近付ける新八に、俺は慌てて
腕を引き抜き、反対の手で新八の顔を塞いだ。

「あ、何すんですか!もう一回やらして下さいよ~」

顔を塞いでいる手を除けようと、新八が俺の手を掴むが無論離してはやらない。
俺は空いている手で自分の顔を覆い、俯いた。

ダメだ、完璧赤いよ、俺の顔。
本当、白いんだから。
マジで赤いの丸判りだから!!

新八が ケチ だの 減るもんでもなし!! と言っているが、知るもんか。
ってか減るから!
確実に銀さんの理性が減ってくから!!

最初っから無いようなもんを
これ以上減らしてどうする!!!

大きく息を吐き出した所で、不意に新八のつけた赤い痕が目に入り、
俺はますます頬が熱くなっていくのを感じた。

*********************
打たれ弱い坂田(笑)

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まだ日付が変わる前に万事屋へと戻ってきた俺を出迎えたのは、
今まさに眠ろうとしていた新八だった。

「あれ?早かったですね、銀さん」

「ん~、まぁなぁ。長谷川さんが、明日用事があるって言うからよぉ。
銀さんも帰って来たの。」

財布ないと呑めないしぃ。と、言いながらブーツを脱いでいると、
小さい声で怒られた。

あれ?俺、今財布って言った?
おっかしーなぁ、ちゃんと名前呼んだつもりだったんだけどなぁ。

・・・ま、いっか。間違ってねぇし。

うんうんと頷きながら居間へと行き、ソファにドサリと体を預けると、
何時の間に持ってきてくれたのか
新八が水の入ったコップを手渡してくれた。

「銀さん、お風呂どうします?」

僕、さっき入ったばかりだから、まだ温かいですけど。そう言う新八に
俺は水を飲みながら少し考え、 入るわ。 と簡潔に答えた。

「そうですか。なら着替え、お風呂場に持ってっときますね」

そう言って箪笥へと行き、俺の甚平を取り出すとそのまま
風呂場へと持っていった。

それを既に空っぽになったコップの縁を咥えながら目で追う。

・・・やべ、ちょっと幸せじゃね?なんか。

どうせなら一緒に入ってくんねぇかなぁ。そしたらもっと幸せだよなぁ。
等と思っていると、風呂場から新八が帰って来た。

よし、ちょっくら誘ってみよう。

そう思い口を開いたが、先に新八から じゃあ先に寝てますね。 と
言われてしまった。

「え、ウソ。寝ちゃうの?お前」

「そりゃ寝ますよ。今何時だと思ってんですか」

「何時って・・・恋人達の時間?」

「そんな時間はとうの昔に過ぎ去りました。
今は睡眠の時間です~」

ツンと顔を背け、俺の答えを無残にも切り捨てる新八に、カクリと
頭を垂れる。

なんだよ、俺の許可なく過ぎてんじゃねぇよ。
ロスタイムはないのか、ロスタイムは!!
ってかその仕草も可愛いんですけどぉぉぉぉおお!!!!

「ホラ、さっさとお風呂行ってきてください」

ウダウダしている俺に痺れを切らしたのか、新八が俺の腕を取って
ソファから立たせてくる。
それに抵抗せず、俺は立ち上がるとそのまま新八に抱き付いた。

「ちょ!お酒臭いですって、銀さん!!」

「お前はいい匂いな」

目の前にある頭に鼻を埋めると、嗅ぎ慣れたシャンプーのいい香りがした。
序に チュッ と旋毛に口付ける。
が、すぐに新八の手が顎に掛かり、無理矢理引き剥がされてしまった。

「ならアンタもいい匂いさせて来て下さい!」

そう言う新八の頬はちょっと赤い。

可愛いなぁ、おい。

思わず頬が緩み、もっとその可愛さを堪能しようと顔を近づけたが、
その前にクルリと体を反転させられた。

そしてそのまま風呂場へ向けて背中を押されてしまう。

「なぁ、やっぱ朝入るわ、風呂」

そう提案するが、新八の足は止まらない。
直ぐに風呂場へと連れて来られてしまった。

「はい、さっさと入って下さいね。中で寝ちゃダメですよ?」

「そんな心配すんなら新八も一緒に・・・」

「はい、さっさと入って下さいね。中で寝ちゃダメですよ?」

「あれ?なんでさっきと同じ言葉??
可笑しいよね?
なんか会話になってないよね?これ」

「はい、さっさと入って下さいね。
中で寝ちゃダメですよ?」

「・・・すんませんでした」

段々と笑みが増してくる新八に負け、スゴスゴと脱衣所に向う。

「・・・なぁ、本当に先寝ちゃうのか?」

銀さん、寂しいんだけど。と、それでも諦めきれずチラリと
視線を送ると、新八はフフッと先程までとは違う笑みを浮かべた。
そして軽く俺の背を叩くと、

「お休みなさい、銀さん」

と言ってその場から立ち去っていった。

・・・うわ、本当寂しいんですけど、銀さん。

一人その場に残され、大きく肩を落とした。
・・・が直ぐに復活する。

こうなったらさっさと入ってとっとと出てやる!!
新八が眠る前に、絶対出てやるぅぅぅ!!!

それで復活!恋人時間、満喫してやらぁ!!と、
勢い良く着物を脱ぎ捨て浴槽へと向った。

そして風呂の蓋を取り・・・目に入ってきたモノに一瞬固まる。

・・・なんだ?こりゃ。

こんなもの、昨日まで無かった筈だが・・・と不思議に思いながらも
とりあえず浴槽へと体を沈めた。
そして先程から目の前にプカプカと浮いている物体を手に取る。

それは所謂『アヒルの玩具』だ。

「どうしたんだ?これ・・・」

多分神楽の玩具であろう事は判る。だが、それが湯船に浸かっている
意味が判らない。

「ま、片付けるのを忘れただけか・・・」

ったく、仕方ねぇなぁ。と、その玩具を手に取る。
どうやら一番大きいアヒルの背中に、小さいアヒルが乗れるように
なっているらしい。

他にする事もないので、とりあえず乗せてようと、小さいアヒルを手に取るが、
少しの違和感を感じ、しげしげとそれを見詰めた。

「これ・・・メガネか?」

何故か小さいアヒルの一つに、マジックでメガネが書き込まれていた。
訳が判らず、クルリとその体をひっくり返してみれば、そこには
『新八』の文字が。

もしかして・・・と、他のアヒルもひっくり返せば、思った通り
『神楽』『定春』とあり、一番大きいアヒルには『銀時』の文字が。

「・・・何やってんだか。銀さん、
まだこんなにプクプクしてませんから~」

そう口にするものの、一つ一つ丁寧に小さいアヒルを大きいアヒルの
背に乗せていく。

・・・やべ・・・ちょっと所じゃなくね?これ。

 

 

 

「あ、銀さん。どうでした?お風呂」

ちゃんと温まってきました?何時もより賑やかな風呂を堪能し出てみれば、
既に寝たと思っていた新八がソファに座って迎えてくれた。

「あ~、もうまたちゃんと拭いてない!!」

風邪引きますよ!そう言って肩に掛けていたタオルを手に取ると、
俺の頭へと乗せ、優しく拭いていく。
そしてある程度水気を取ると、チラリとタオルの間から俺の顔を覗き込み、

「お風呂、寂しくなかったでしょ?」

と、やんわりと笑みを浮かべて問い掛けてきた。


・・・訂正。ちょっと所も何も、すっげー幸せだ、俺。

*******************
偶には坂田を幸せにしてみる。

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呑みに行き、そのまま朝日と共に帰宅となった銀時は、痛む頭を抱えながら
静かに万事屋の玄関を潜った。

「うぉ~い、たでぇまぁ」

少しだけ声を抑えて言い、耳を澄ます。

新八は昨日泊まった筈だ。
自分が呑みに行く時は大抵万事屋に泊まっていく。

神楽を一人には出来ない。

以前、自分よりもよっぽど強い神楽を捕まえて、
そんな事を言ったのを覚えてる。

神楽がそこら辺のヤツラにどうこうされるタマかよ。

呆れ混じりにそう返すと、新八は少し怒ったようにこちらを睨み、

「それでも神楽ちゃんは女の子で、子供です」

だから、夜一人になんかさせられません。自分だってまだ十分子供と
言える年なのに、そう言いきった新八。

そんなもんかね~。と、頭を掻きつつ、ほんの少しだけ
口元が緩く上がるのを感じた。

そんな俺がどう見えたのか、新八は一つ息を吐いて肩を落とし、
それにですね~・・・と言葉を続けた。

「アンタ、酔っ払うと適当にソコラ辺で寝ちゃうじゃないですか。
風邪なんか引かれたらたまりませんもん」

自分よりも一回り年を取ってる俺に向けて、そんな事を言ったのも覚えてる。

何その手の掛かる子供を見るような目。
確かにね、銀さんソコラ辺で寝ちゃうけど、そんなに手、掛からないから。
いい大人だから、銀さん。
でもこの間は着替えさせてくれて、布団まで連れてってくれて有難う。

安心して酔えます。


「だからって言って、ホイホイ呑みに行くんじゃねぇぞ、コラ。」


ですよね~。

・・・そう、どす黒い笑顔で言われたのも覚えてるんだけどね。

 

だが、覚えてはいるものの中々実行出来ない俺は、こうして静かに
家の中の物音に耳を澄ませるのが常だ。

・・・よし、どうやらまだ寝てるみてぇだな。

てっきり帰るのと同時に新八辺りからお小言を貰うものと
気構えていただけに、ホッと肩の力を抜いた。

その拍子に落ちた視線の中に、きちんと二人の履物が並んでいるのが入り、
少しだけ、安心する。

怒られるのはイヤだが、やはり出迎えが無いと言うのは寂しい。

それを眺めつつ、適当に自分のブーツを脱ぐ。
そして廊下へと足を進めたのだが、ふとそれを止め、チラリと振り返る。

視線の先には見慣れた玄関。

神楽の靴。

新八の草履。

そして俺のブーツ。

・・・だが、俺のだけ少し離れた所にある。
しかも片方倒れてるし。

それに少しだけ眉を顰める。

違う・・・違うな、コレ。

足早に戻り、その場にしゃがみ込む。
そして自分のブーツを手に取り、二人の履物の横にきちんと並べる。

すると、そこには行儀良く並んだ三人の履物が出来上がる。


神楽の靴。

新八の草履。

俺のブーツ。


「坂田家の出来上がり~♪」

納得のいく出来栄えに、少しだけ気分が良くなる。

少し前までここには俺のブーツしかなかった。
だけどそれが一つ増え、もう一つ増え、こうして行儀良く並んでいる。

いいな、コレ。うん、いいよ。

満足げにそれを眺めていると、不意に小さな足音が後ろから聞こえた。
振り向けばソコにはまだ少し眠そうな新八の姿が。

「銀・・・さん?帰って来てたんですか」

そんな所で何してるんです?重そうな目蓋を擦りながら、新八が
傍へとやって来る。

どうやら起きぬけの為、朝帰りへの怒りよりも先に、目の前の俺の行動が
気になったらしい。

それを手招きし、今まで見ていたものを指差した。

「見て見て、仲良し坂田さん一家」

ニコニコと笑って告げると、新八はカクリと首を傾げた。
・・・が、それも少しの間だけ。
直ぐに新八も気付き、やんわりと頬を和らげた。

「本当だ、仲良しさんですね~」

珍しく行儀の良い。そう言ってクスクスと笑う新八に、俺は少しだけ
口を尖らす。

「珍しくは余計だっつーの。アレだよ?坂田さん一家は何時でも行儀良いよ?
寧ろ皆の見本だからね?」

「どこの坂田さん一家ですか、それ。
それについさっきまで一つなかったですからね?
仲良しさんだったのはこの二つだけです。」

こ~んな感じで。そう言って俺のブーツを離そうとする新八に、
慌てて頭を下げる。

本当すんません、ごめんなさい。
反省してるから離さないでください、マジで。

すると、許してくれたのか新八の手がブーツから離れた。
それを見て、すかさず少しだけ空いてしまった隙間を埋めるように
ブーツを直す俺。

うん、やっぱり仲良し坂田さん一家だ。

すると、満足げに頷く俺の横で、新八が小さく声を上げた。

見れば何処か困ったような表情で坂田さん一家を見詰めていた。
そして・・・

「銀さん・・・」

「ん?どうした、新八」

「犬の靴ってないんですかね・・・」

「・・・・・・あぁ!!」

 

 

 

 

 

 

「新八~、定春のお散歩セット、何処ネ?」

「あ~、玄関だ、玄関」

昼過ぎ、何時もの所に見られなかったお散歩セットの行方を
尋ねると、問い掛けた新八ではなく、ソファに寝そべっていた
銀時が答えた。

「なんで銀ちゃんが知ってるネ」

万事屋の中の事は、既に主である銀時よりも新八の方が知っている。
なので新八に聞いたのだが・・・
神楽は訝しげに銀時を見詰めた。

「別に俺が知っててもいいだろうが。
と言うかここの家の主だからね?銀さん。
この家の事で知らない事、ないから」

「なら耳かき何処アルカ」

「あ、ちゃんと元あった所に戻しとけよぉ、お散歩セット

「だから耳かき・・・」

「それとアレだ。知らない人に着いてくなよぉ。
声掛けられても無視しろ無視。決して拳で返事を返すな」

「新八ぃ、耳かき貸すアル。この天パ、詰まりまくってて
人の言葉全然聞こえてないネ。
神楽様が直々に風通し良くしてやるヨ。」

「おいぃぃぃぃ!!!
何処の風通しを良くする気ですかぁぁぁ!!?
もういいからさっさと行って来い!!!」

まるで追い払うように手を振る銀時に、神楽は ケッ と小さく息を
吐くと、傍で苦笑を浮かべて自分達を見詰めていた新八に声を掛けた。

「なんで急に場所を変えたネ。お陰で銀ちゃんに教えられるという
屈辱を味わったヨ、私」

「ちょ、お前どう言う意味だ、おい。」

「そのまんまの意味ヨ」

ベーっと舌を出す神楽を銀時は睨みつけるが、直ぐに視線を逸らし、
荒い鼻息と共に再び体を横たえた。

「・・・仕方ねぇだろ、ソイツは履物ねぇんだからよぉ」

不貞腐れたように呟く銀時に、神楽は不思議そうに首を傾げ、
新八はそっと笑みを零した。

 

 


神楽の靴。

新八の草履。

銀時のブーツ。

そして定春のお散歩セット。

 

 

時に乱雑になっている時もあるが、坂田さん一家は何時でも仲良しだ。

********************
この後、新八以上に履物の並べ方に几帳面になる坂田。
でも臭そうだと何時も隅に追いやられる羽目に(笑)

拍手[1回]


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