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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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何時も通り仕事の無い万事屋。
その中で一人、忙しそうに部屋の中を掃除している新八の元に、
トコトコと神楽が近寄ってきた。

「何?酢昆布もう食べちゃったの?」

ありそうな事柄に、掃除機を止めて問い掛ければ、フルフルと首を
振られた。

「違うネ。アレはちゃんと言われた通り一つ一つ
大事に噛み締めながら食べてるから大丈夫ヨ。
それよりも爪切りどこネ?」

神楽はそう言いながら、人差指と親指をカリカリと弾いている
自分の指先に視線を落とした。
つられて新八も神楽の指先を覗き込む。

「あぁ、ちょっと伸びてるね。待ってて」

そう言うと、新八は掃除機を置き、箪笥の上部にある小物入れから
爪切りを取り出してきた。

「はい、ちゃんと新聞敷いて切ってね?」

新八の言葉に、判ってるネ。と答え、神楽は居間の床へと
新聞を敷くと、そのまま直に座り込み、パチリパチリと爪を切り出した。
その姿を見て、新八も自分の指先へと目を落とす。

日頃気をつけてはいるものの、ちょっと伸びているような気もする。

新八は序だし・・・と、神楽に次貸してくれるよう頼むと、
掃除の続きを再開した。

 

 

 


「あ?何新八、爪切ってんの?」

その日、いい加減キレたお登勢に呼び出された銀時が
疲労感も顕に帰ってくると、先程まで忙しなく家事をしていた
新八がパチリパチリと爪を切っていた。

「えぇ、ちょっと気になったんで」

答えながらも視線を上げず、真剣な表情で爪を切っている新八に、
銀時は思わず自分の指先へと視線を落とした。

が、そこには意外にもきっちりと切り揃えた爪。

「銀ちゃん、変なトコでマメアルナ」

伸びてるトコ、見た事ないヨ。同じように銀時の爪を
覗き込んでいた神楽が、意外そうな声で呟いた。
その額をペシリと叩き、銀時はソファへと腰を降ろす。

「変なトコってどう言う意味だよ。
言っとくけどなぁ、これぐらい嗜みよ、嗜み。
自分から見て、白い所が見えたらアウトだから」

「その割りに白い所、見え放題の跳ね放題ヨ」

「頭の事じゃねぇよ。
ってかこれが見えなくなったらアウトだろうが、逆にっ!」

「まぁまぁ。でも本当、そこら辺はきっちりしてるんですよね、銀さん。」

やっぱり危ないですもんね。使い終わった爪切りを仕舞いながら、
新八が言うと、そうそう。と大袈裟な程大きく銀時が頷いた。

それを見て、新八は少しは仕事について真面目に考えているのだと
ホッと胸を撫で下ろす。

万事屋と言うだけに、入ってくる仕事は色々だ。

手先の器用さを必要とするものから、力仕事。
それに偶に巻き込まれてしまう、危険な事柄。

・・・まぁ最後の方はこっちから首を突っ込んでしまう場合も
あるのだけれど。

でもそんな時、爪と言えども伸びていれば危ない時もある。

そこら辺、やっぱり判ってるんだな~。僕も確りしなきゃ。

新八は一人そう納得し、敷いてあった新聞を屑篭へ捨てようと
腰を上げ、

「やっぱ傷付けたくないからね、新ちゃんの。
これからもずっと銀さんが
お世話になるもんだからさ。
だから何時でも何処でもOKなように、
常日頃から爪には気をつけて・・・」


「そっちかぁぁぁぁ!!!!!」



そのまま勢い良く銀時の顔に蹴りを繰り出した。


「なんですか、アンタ。ってかそっちって何!?
や、そっちなんて知るかボケェェェ!!!」

新八の蹴りを受け、ソファに倒れこむ銀時を前に、
顔を赤らめて怒鳴る新八。
そこに、フラフラと頭を振りながら銀時が体を起こした。

「いや、そっちも何もナニ・・・」

「言わせねぇよ!?
何なんですかアンタ。そんな事しか考えてないんですかっ!」

「だからぁ、そんな事も何も、新八の事しか考えてません」

清々しいほどきっぱりと言い切る銀時に、思わず神楽の拍手が
送られる。
が、新八はフルフルと体を震わせるばかりだ。

「あれ?ナニ、新ちゃん。銀さんの言葉に感動しちゃった?」

やだなぁオイ。さっきのも照れ隠しかよ。等とニヤケタ顔で
言う銀時に、新八はゆらりと落としていた顔を上げた。

その頬には先程の赤さなどなく、代わりに張り付いていたのは
恐ろしいほどの笑顔だ。

その顔を見て、神楽はそろりとその場を抜け出す事にした。

だってアレは、姉御が時折見せる
真の姿そっくりネ。

だが銀時は気付かないようで、新八の笑みにニマニマと口元を
緩めている。
そんな銀時に、新八はより一層笑みを深めると、手にしていた
爪切りを目の前に翳した。

そして・・・


「そうですか・・・でもそんなに気を使ってもらうのも悪いので、
僕が責任持って剥がしてあげます、ソレ」

そう言い、ゆっくりと銀時に近付いていく新八。

「え?あ、あの・・・新ちゃん?」

新八の雰囲気に、流石に何か感じ取ったのか、銀時が
ソファの上を後ずさるが、その分だけ新八も前に進んでくる。

「や、銀さんそう言う風に気を使うのも大事だなぁとか
思ってるから、別にお前が気にしなくても・・・」

「いやいやそんなに遠慮しないで下さいよ。
大丈夫ですって。これからはちょっと生えてきても
ズバズバ剥がしていきますから。」

「いや、そんな事したら仕事もナニも出来ないからね?
なんにも手ぇつけられないからね!?」

「やだなぁ、元々仕事もナニもないでしょ?
いいからさっさと手ぇ出せやコラァァァ!!!!」

「いやぁぁぁぁぁああっ!!!!!」

 

 

 

 


「似合わない事するからネ、銀ちゃん」

銀時の絶叫を聞きながら、神楽は綺麗に切り揃えられた爪を
眺めた。


**********************************************
変な所で素直な坂田。

拍手[3回]

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今日は週に一度の特売デーだ。
なので神楽ちゃんを誘って、僕は買出しに出掛けた。
本当は銀さんにも来て貰いたかったんだけど、
気が付いたら、既に出掛けた後だった。

・・・ったく、こんな時だけ無駄に実力発揮しやがって。

ま、いいけどね。
お徳用チョコが安かったけど、無視してきたし。

少しだけそんな事で溜飲を下げる自分が可哀想な気がしたが、
あの人にとってはこれが結構きくのだから仕方が無い。

あれ?じゃあ可哀想な人は銀さん??

 

「本当、銀ちゃんは使えないマダオアル」

ぼんやりとそんな事を考えていると、隣を歩く神楽ちゃんが、
お手伝い賃としての酢昆布を噛み締めながらそう吐き捨てた。

「きっとパチンコネ。玉遊びが好きなんて、どこまで子供アルカ」

「や、その言い方はダメだからね?
なんかダメだからね?」

そう言いながらも、やっぱりパチンコ行ってるんだろうなぁ、と
気が付いたら居なかった上司を思い浮かべる。

本当、勝つ時なんて偶にしかないのに、なんで
あんなに好きなんだろう?
暇があれば行っている気がする。

僕にしてみれば、煩くて仕方が無い場所なのに。
しかもお金があっという間に吸い込まれていく、恐ろしい場所だ。

現に銀さんは、毎回のように憔悴しきった感じで帰ってくる。

肩をダラリと落とし、序にお金もごっそりと落として。

 

「新八もよく見捨てないネ、銀ちゃんの事」

「・・・神楽ちゃんこそ」

そう返すと、酷く嫌そうな顔を返される。
ってか女の子がなんて顔してんのっ!

「私のは情けアル。情が深いのはいい女の証拠ネ」

そうでなきゃ今頃土へと還ってるヨ、銀ちゃん。そう言う神楽ちゃんに
僕だって。と返した。

「パチンコでお金捨ててくるし」

「そうでなきゃ、ダラダラ何時も寝こけてるネ」

「お酒弱いくせに呑みに行くし」

「次の日お酒臭くてヤーヨ。
その上加齢臭は常時装備ネ」

「糖尿寸前だって言うのに糖分欲しがるし」

「この間、親切にも隠し糖分食べたら真剣に怒られたヨ」

「え?僕この間全部探し出せたと思ってたのに、まだあったの?」

驚いて見返せば、神楽ちゃんは何故だか自慢げな笑みを浮かべていた。

「私の目と鼻は超一流ヨ。ま、ガキの好きそうな甘ったるいもんばっかで
食べれたもんじゃなかったけど、腹の足しにはなったネ」

その言葉に僕は盛大に息を吐いた。

ったく、いい大人が何隠してんだか・・・
や、大人らしいもの隠されても困るんだけどね!?
そんなの神楽ちゃんに見付けられたら、本当ヤバイから!!
あ、でもそれは大丈夫かな?
なんかそこら辺は気を使ってくれてるみたいだし。

「ちなみに腹の足しにもならない薄っぺらい本は無視したネ」


・・・見付かってんじゃねぇかよ。
ってか気を使えよ、そこは本気で!!
思春期舐めてんじゃねぇぞぉぉぉぉ!?
見下げ果てた視線を送りつけるぞコノヤロー!!!!

あ、でもそれでか。
最近神楽ちゃんが銀さんを見る視線が冷ややかだったのは。
よし、僕もそれに参加しよう。

「特集はコスプレ眼鏡っこだったネ。」

そう言って神楽ちゃんは微妙な視線で僕を見てきた。

や、判らないからね、その視線。
なんでそんな可哀想な目で僕を見るのぉぉぉ!!!?
やめてくなんい!?なんか怖いから止めてくなんい!!?

「いつか新八が私の知らない新八になっても、
きっと大丈夫ネ。」

「何が大丈夫ぅぅ!?全然大丈夫な気がしないんだけど!!?」

ってか神楽ちゃんの知らない僕って何!?
そんなの僕も知らないから。
知りたくも無いからっ!

 

「あれ?お前ら何してんの?」

何時の間に着いたのか、不意に万事屋の前で反対から歩いてきた
銀さんに声を掛けられた。

どうやら珍しく勝って来たようで、大きな紙袋を抱えてヘラヘラと
笑っている。

・・・ってかやっぱパチンコかよ。

僕と神楽ちゃんはチラリと銀さんに視線を向けると、さっと
逸らして足早に万事屋の階段へと足を向けた。

「え?何、無視?あ、もしかして買い物に付き合わなかった事
怒ってんの?悪かったよ、でもさぁ、ホラ見てよコレ。
新装開店でさぁ、やっぱこう言うのは朝から行って
良い台取らなきゃダメじゃん?お陰でもうウハウハよ?
あ、勿論金にも換えてきたから。お菓子だけじゃないからね?
ちゃんと銀さんも考えてんだからね?だからさ、無視とか
子供っぽい事止めようよ、軽い苛めだよ?それ。
あ、かと言ってそんな目で見るのも禁止な。
なんかものっそい心が痛くなるから。
見てらんないから、ソレ。

え?じゃぁ見んなって?や、それは出来ないでしょ。
見ちゃうでしょうが、普通。・・・て、あれ?
なんか益々視線が痛くなってきたよ?
ちょ、本当止めてくなんい?
なんか真剣に泣きそうになるんですけどぉぉぉ!!!!」




「なら遮りましょう」





にっこり笑って、追ってきた銀さんから紙袋と財布を
奪うと、ぴしゃりと目の前で玄関の扉を閉めた。
それに続き、神楽ちゃんが鍵を閉め、序に留守番をしていた定春を呼ぶ。

定春は言われるままやって来ると、大人しく玄関へと座り込む。
うん、これで最強のバリケードの完成だ。

僕は満足げに頷くと、家捜しするべく部屋へと足を踏み入れた。


とりあえず本気で泣き出すまでそこに居やがれ、コノヤロー。

***************************
途中までは甘々で行く筈だった、成れの果て(おいι)
 

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「銀さんって手、おっきいですね」

ぼんやりと茶を飲んでいると、突然隣に座っていた新八から
そんな事を言われた。

ちらりと見れば、じ~っと俺の手を凝視しているでっかい目が。


いや、そんな風に見るほどでかくはねぇだろ。


そう思いながらも湯呑みを置き、じっと手を見てみる。


・・・うん、至って普通の大きさだ。


だが新八はそう思っていないようで、ホラ。と俺の手を取ると
自分の手と比べるように合わせた。

「ぅわっ!こんなに違うんだ」

そう言って珍しそうに色んな角度から眺めると、向かいに座っている
神楽を手招きした。

どうやら神楽も暇をしていたようで、素直にこちらへとやってくる。
そして合わさったままの俺と新八の手を見ると、自分の手を見、
次にもう片方の俺の手を取ると同じように合わせてきた。

「本当ネ、無駄にでかいヨ銀ちゃん!」

「や、そんなキラキラした目で言われても、無駄ってついてるからね?
明らかに貶めてるから、その単語ぉぉぉ!!!」

そう言っても、何が楽しいのか目の前の子供達は手を離すことはせず、
そのまま遠慮なく弄りだした。


全く・・・何が楽しいんだか・・・


とりあえず両手の自由を無くした俺は、身動きの出来ないまま
テコテコと動く二つの頭を眺める事にした。

 

「いいな~、僕もその内これくらい大きくなれるのかな?」

「私もこれくらい欲しいネ。そしたらでかいお握り、握り放題ヨ」

「ってかちょっと・・・固い?やっぱりアレかな?
木刀握ってるせいかな?」

「それ以上にパチンコのハンドル
握ってるせいネ。」

「あ~、そっちか~。
あ!ちっちゃい擦り傷発見!なんだろ?
屋根裏に隠してる甘味を取ろうとして擦ったのかな?」

「こっちはごっさ短い生命線見つけたヨ!
短い上に何度か途切れまくってるネ!!」


「っておぉぉぉぉおいっ!!!
さっきからテメー等はイジイジネチネチとぉぉ!!!
くすぐったい上に心が傷付きまくりじゃねぇかぁ!!」

二人の暴言に、没収とばかりに自分の手を取り戻す。


ったく、少し甘い顔を見せたらコレだ。
何が擦り傷だ、何が生命線だ。
少しは心配ぐらいしろってんだ。
ま、いいけどね。銀さんそんな小さな事気にしないし?
手相とか全然信じてないから?

って隠し場所がバレてんのはダメだろぉぉぉ!!!!
しかも本当に生命線短っ!!!
ヤバクね?これ、マジでヤバクね?
甘味も俺も、風前の灯じゃね?


思わず自分の手を凝視していると、ケチだのなんだのと言う
お子様達からのブーイングが飛んできた。


うるせぇよ、それ所じゃねぇんだよ、銀さんっ!
・・・や、別に手の大きさと懐のでかさは関係ないからね?
それで言ったら、俺より心狭いことになるからね、
お前ら。
ってか今さっきまで散々弄くり倒させてたじゃねぇかっ!
十分優しいだろうがコノヤロー!


俺は一つ息を吐くと、目の前の頭にそれぞれ自分の手を乗せた。
そしてそのまま豪快に撫でる。


ったく、手一つで騒ぎやがって。
こんなもん普通だ、普通。
寧ろ丁度良ってもんだろ?


ギャーギャーと騒ぎながらも、しっくりと掌に馴染む二つの頭に、
俺はゆるりと口元を上げた。





あぁ、やっぱりこれぐらいで丁度いい。

******************************************
二人の頭を撫でれる大きさに満足。

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「なんで俺がこんな事を・・・」

「ま、まぁ仕方ないじゃないですか。ほら、後少しですよ?」

グダグダと文句を言う銀時に、新八は苦笑を浮かべながら
フォローらしきものを入れ、銀時の背中をチラリと見た。

そこには、少し前まで元気溌剌に求愛行動を示していた
ゴリラの哀れな姿が・・・

「ってかなんで俺が運ばなきゃいけないんだってぇの。
言っとくけど死体遺棄は万事屋の仕事に
含まれてねぇぞ!?」

「いや、まだ死んでませんから。
真選組に届けるだけですからね?」

「あ~、もう銀さん疲れたっ!
いいじゃん、もう。これ、そこら辺に捨てとこうぜ?
きっと親切な人が動物愛護協会に連絡して
保護して貰えるってっ!」

「ダメですよ!その前に僕等が通報されますっ!
かと言って、これ以上この人をアソコに置いてたら、
確実に姉上が犯罪者になっちゃうし・・・」

そう言い、先程目の前で見てしまった実の姉による、ホラー映画のような
ワンシーン
を思い出し、新八はブルリと体を震わせた。

「・・・や、既に犯罪者だからね、この惨状」

銀時は一つ息を吐くと、背負いたくも無い荷物をとりあえず降ろし、
引きずることに決めた。

 

 

 




 

「あ?おい、テメーラ。そこで何してやがる」

漸くついた真選組屯所。とりあえず門番に近藤を投げ渡し、帰ろうと
した所で、中から聞き慣れた声に呼び止められた。

振り返れば嫌な顔をしている土方の姿が。

銀時は小さく舌打ちをし、顎で先程投げた近藤を示す。

「善良な一市民として落し物を届けに来ただけですぅ。
ったく、一割はいらねぇし、感謝の言葉は
気持ち悪ぃからとりあえず金よこせや、コラ」

「あぁ!?どうせ原因そっちだろうが!
傷害でしょっ引くぞ、ゴラァァ!!!」


「土方さん。その前にしょっ引く人、居ますよね?」


顔を突き合わせて怒鳴りあっていたが、新八ににっこりと微笑みながら
割って入られ、土方がチッと舌打ちをしたその瞬間、

「どわぁっ!!!!!」

パララララと言う音と飛び上がる土方の姿が見え、
新八は目を丸くしてしまった。

一体何が・・・と思う間もなく、直ぐに銀時の背中に視界を覆われ、
何も見えなくなる。

「おいおい沖田くん。そう言うの止めてくんない?
新ちゃんに当たったらどうすんのよ」

「え?沖田さん?」

銀時の言葉に、背伸びして肩口から覗き込めば
そこには飄々とした沖田の姿が。

「安心して下せェ、そんなヘマはしやせんぜ?
・・・まぁ土方さんを外すヘマはしやしたが」

「よ~し、俺は外さねぇからソコに首晒せ、総悟」

チャキッと音を立てて刀を構える土方に、ヤレヤレと首を振る沖田。

「何青筋立ててんですかィ、大人気ない人だねェ。
たかが豆まきぐらいで」

「殺される寸前に大人気も何もねぇよっ!
ってか豆まきじゃねぇだろうが、どう見てもっ!!!」

そう言って土方の指差す先には、鈍く光るイングラムが・・・

「どう見ても豆まきじゃねぇですかィ。
まぁ手で・・・じゃなくて玩具から弾き出されてますけどねィ」

「へ~、それ、豆鉄砲みたいなもんなんですか」

ニヤリと笑ってイングラムを掲げる沖田に、新八が物珍しそうに
銀時の背中から出て近寄っていく。

「ちょ、新ちゃん!?危ないから戻ってきなさいってっ!!」

そんな新八を呼び戻そうと銀時が手を伸ばすが、時既に遅し。

再びパラララララという軽快な音が土方と銀時の足元で鳴り、
序に土煙も上がる。

「だぁぁぁああぁっ!!!
あっぷねぇじゃねぇか総悟コノヤロー!」

「ちっ!避けるんじゃねぇよこのクソ鬼共。
潔く豆に当たって払われろってんでィ」

「当たったら払われるどころか
魂が弾け飛ぶわぁぁ!!!」

なんとか当たらずにすんだ銀時達が叫ぶ中、新八がキョトンとした
顔で沖田を見る。

「真選組では土方さんが鬼役なんですか?」

「あぁ、当然でさァ。じゃなきゃ何の為に
『鬼の副長』なんて二つ名持ってるって言うんでさァ」

「何の為かは知らねぇが節分の為じゃねぇ事だけは
確実だろうが、おい。
ってかテメーもいい加減突っ込めぇぇぇ!!!!
また職務放棄かコノヤロー!!」

「っつうか俺関係ねぇだろ。鬼じゃないからね?銀さん。
お兄さん的年齢だけど、鬼じゃないからっ!
ってかそれ、明らかに豆じゃねぇだろ、弾き出されてるのぉぉ!!!」

「その発言だけで十分鬼役の理由にはなりまさァ。
ちなみにコレは、心の目で見て下せェ。
そうすれば弾も豆に見えるってもんでさァ。」

「見たくねぇよ!ってか見えねぇよ速過ぎてっ!!
ちょ、新ちゃん、助けてっ!!!」

そう言って銀時が沖田の隣に居る新八へと手を伸ばすが、
沖田が再びイングラムを構えた為、ピタリと固まってしまう。
勿論、銀時の傍に居る土方も同じで、固まったままヒクリと口元を
震わせ、青褪めていった。

それを見て、沖田はニタリと口元を緩める。

「見てなせェ、新八。今からあの青鬼共を
赤鬼へと変化させてやりまさァ」

全身隈なく、真っ赤になァ。楽しそうにそう告げる沖田に、
土方と銀時はコクリと一つ息を飲むと、脱兎の如くその場から
逃げ出した。

「甘いですぜィ。オラ、鬼は~外、福は~内。
二人は~
散れやコノヤロー。」

それを楽しげに追いかけながら、自称豆を撒く沖田。

「真選組の豆まきって凄いな~」

怒声と雄叫び、それと楽しげな笑い声を聞きながら、ポツリと新八が
呟いていた。

 

 

 

 




 

「ったく、酷ぇ目に合ったぜコンチキショー。」

しかも新八には見捨てられるし。そう言って隣を歩いている新八を
じとりと睨めば、サラリと視線を逸らされた。

そう、なんとか命辛々逃げ延びた銀時が目にしたのは、
何故か屯所内で楽しげに隊士達と和やかな豆まきをしている
新八の姿で。

「だって仕方ないじゃないですか。
僕、銀さん達の豆まきには付いていけなかったんですもん。」

「や、あれは豆まきじゃないからね。
純粋なる虐殺行為だから、本当」

そう銀時が言い返すが、新八は納得いかない顔で少しだけ
唇を尖らした。

「で、折角生還した近藤さんが誘ってくれたって言うのに・・・
銀さん、帰って来たと思ったら、鬼やってた近藤さんに
じゃなくてぶつけるんですもん。」

そんなもの、人に向けて投げちゃダメでしょ。新八がそう怒るが
こっちだって相当ムカついたのだ。・・・と、銀時は眉を顰めた。

「銀さんは石どころか銃弾向けられたんですけどぉ!?
ってか坂田家の鬼役は銀さんなの!
あれは単なるゴリラ!!判った!?」

「あ~、はいはい判りました。
じゃあ帰ったら銀さんが鬼、やって下さいね」

「おぅ!任せとけ。新ちゃんの豆も糖も愛も全部
受け止めてやらぁ!」

「や、受け止めちゃダメでしょ。
ってか豆以外投げませんからね!?」

何、糖とか愛って!?そう言いながらも少し楽しそうな新八に、
銀時もゆるりと口元を上げた。

 

 

 

 

 


しかし。

この後、神楽によってイングラムに相当する豆まき
再び体験する事となるのだが・・・

坂田家の鬼は、まだ知る由もなかった。


**********************************
少し遅れましたが節分話。
ちなみにウチでは何故か豆投げ合戦と化します。
お陰で常に豆は粉砕。
最終的に掃除機かける羽目になります。

・・・・何故だ?
 

拍手[1回]



「あ~にやってんだ、てめーはっ!」

その言葉と共に、ペシリと頭を叩かれた。

銀さんはよく頭を叩く。それは勿論理由があっての事だけど、
やっぱり頭はよくないと思う、頭は。

・・・と、言う事で。

 



「叩くなら他のトコにして下さいよ」

僕は叩かれた頭を撫でながら、そう訴えてみた。
ちなみに今回叩かれた理由は、昼間買い物に出掛けたまま、
僕が夜まで帰らなかったから。

ってか帰れなかったから。

確かに僕は買い物したらすぐに帰ってくるつもりでいたのだ。
けれど運悪くその道程で沖田さんと会い、強制的に暇潰しの
相手にさせられた
挙句、サボリの沖田さんを探しに来ていた
土方さんに見つかり、そのまま強制的に共に逃亡。


逃げて攻撃して逃げておやつして。
攻撃、罠、嘲笑って逃亡、攻撃、返り討ち、逃亡。


そんな事を繰り返してたらいつの間にか夜になり、
沖田さんは就業時間終了土方さんは疲労困憊漸く僕も
解放されたのだ。

で、帰ってみれば何時もとは立場が逆転し、玄関で仁王立ちしている
夜叉と遭遇したと
言う訳で・・・

って、あれ?これ、僕、悪く無くない?
寧ろ被害者的立場じゃない?

そうは思うが、心配してくれただろう銀さんにそんな事
言える訳なく、素直にお説教を食らっていたのだが・・・

つい、ポロッとそんな事が口から飛び出してしまった。

お陰で目の前の銀さんが、また怖いものになってきている。
うぅ・・・やっと終わると思ったのに・・・

だが、出てしまったものは仕方が無い。
それに前々から思ってた事だしね。
僕はそんなにないけど、神楽ちゃんなんかよくポンポンと景気良く
叩かれている。

僕はそっと神楽ちゃんが寝ているだろう押入れに視線をやった。

うん、やっぱり良くないよ。
だって大事だもん、頭って。
って言うか、あんまり手を出すのも良くないよね。

「オマエなぁ、怒られてるってのにダメ出ししてんじゃねぇよ。
大体昔っから悪い事したら頭叩かれるって決まってんの。」

拳固じゃなかっただけ有難いと思え。そう言う銀さんに、
僕はちょっとだけ口を尖らした。

そりゃ~拳固じゃなかったのは良かったけどさ。
でもやっぱり頭は・・・

「・・・てかさ、頭じゃなかったら何処叩けばいいんだよ」

そんな不満が判ったのか、銀さんは溜息を吐くとガシガシと自分の頭を
掻いて問い掛けてきた。

・・・って、叩くのは絶対条件かよ、おい。

しかし銀さんの尤もな問い掛けに、僕もつい考えてしまう。

う~ん・・・顔・・・は絶対ダメだよね?
って事はやっぱり・・・


「お尻・・・とか?」

そう声に出してから、自分でも納得がいって思わず頷いてしまう。

そう、お尻だよお尻!
だって小さい子とかよく叩かれてるし。
頭よりは断然いいでしょう!
・・・あ、でも神楽ちゃん相手だとダメか。
流石に思春期の女の子相手にそんな事したら、軽く警察沙汰だ。
と言うか、やった方が病院行きだ、きっと。
寧ろ
星海坊主さんによる地獄流し決定だ。

やっぱり今のは訂正しよう。と口を開こうとした時、
困ったような顔の銀さんが先に言葉を吐き出した。

「いや・・・そりゃ~さすがに・・・なぁ?」

「ですよね~」

うん、流石の銀さんもそれくらいの常識は持ち合わせてたみたいだ。
僕は乾いた笑いを上げ、銀さんの言葉に同意した。
すると銀さんは顎に手を当て、って言うかよぉ。 と頷きながら
言葉を続けた。
その表情は何時もより真剣で、思わず居住まいを正してしまう。

なんだろう、やっぱり銀さんには銀さんなりの
教育方針があるんだろうか?

そう思って見詰めていると、銀さんが重々しくその口を開いた。



「まぁアレだ。ケツ叩きはあくまでプレイであって、
お仕置きじゃないと思うわけよ、銀さん。」


「・・・・は?」



なんだか真剣な表情から、理解出来ない・・・と言うか
したくもない言葉が出てきて、思わず変な声を上げてしまった。

だが、目の前の銀さんはそんな僕に構わず、どんどん
言葉を続けていく。

「やっぱそこら辺はきっちりしときたいって言うか?
や、お仕置きからプレイに発展ってのも十分アリだけどね。
アリだけど、・・・アリだな、それ。
・・・やべ、結構クルわ、そのシチュエーション。
今まできっちり区別してた自分が情けないね、おい。
あ~・・・新八君?さっき叩いたのは無しにして、今から
新八の希望したケツ叩きを是非実践・・・」

「するか、ボケェェェェェ!!!」

とりあえず、僕は勢いよく腕を伸ばすと、渾身の鼻フックを炸裂させて貰った。

 

暴力はやっぱりいけないと思う。
そこはやはり譲れない。
でもね?銀さん・・・



躾は別ですよコノヤロー。


*************************************
台無し坂田(ひでぇι)
でも実際の所、あんまり新ちゃんの事は叩かないんですよね。
・・・・S心が覚醒するから?(ちょっ!)

拍手[3回]


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